VBA入門
「On Error Resume Next」とErrオブジェクト

ExcelマクロVBAの基本と応用、エクセルVBAの初級・初心者向け解説
公開日:2013年5月以前 最終更新日:2021-09-23

第62回.「On Error Resume Next」とErrオブジェクト


「On Error Resume Next」
このステートメントは、実行時エラーが発生してもマクロVBAを中断せずに、エラーが発生したステートメントの次のステートメントから実行を継続します。


マクロVBAは、エラーが発生するとその時点で停止してしまいます。

マクろVBA on error Go To

VBAが実行不能となった場合には、エラー発生したVBAコードで停止します。
このような状態になるエラー発生時にも、マクロVBAが停止せずに次のVBAコードに進んでほしい時には、
On Error Resume Next ステートメントを使用します。


On Error Resume Next

エラーが発生しても、エラーが発生したステートメントの次のステートメントから実行を継続します。
このステートメント以降、On Error GoTo 0 が無い限り、プロシージャーの終わりまで有効となります。

On Errorの有効範囲については、前回の「On Error Go To」と「Exit Sub」
・On Error GoTo 行ラベル ・Exit Sub ・On Error の有効範囲とその動作について ・最後に
こちらを参照してください。

オブジェクトにアクセスするときは、 On Error GoTo の代わりにこの形式を使用してください。
※VBAリファレンスにはこのように記載されていますが、明確な理由ははっきりしません。

On Error Resume Next によって、エラーが発生しても停止することなく次のステートメントへ進みます。
しかし、エラーが発生している訳ですから、エラーに対する何らかの処理が必要になります。
そこで、エラー発生しているかを判定する必要が出てきます。
エラー発生の情報は、Errオブジェクトに入っています。

On Errorが実行された時点で、それ以前のエラー情報は消去さます。


Errオブジェクト

Err オブジェクトは、実行時エラーに関する情報を保有しています。

Errオブジェクトのプロパティとメソッド
Err.Clear すべてのプロパティの設定値をクリア
Err.Description エラーに関する簡単な説明
Err.HelpContext ヘルプ ファイルのトピックに対応するコンテキスト番号
Err.HelpFile ヘルプ ファイルへの絶対バス
Err.LastDllError 最後にダイナミック リンク ライブラリ (DLL) を呼び出したときのエラー コード
Err.Number エラーを指定する数値。エラーではない場合は0
Err.Source エラーの発生元のオブジェクトまたはアプリケーションの名前

Errオブジェクトは、プロジェクト内で一つしか存在しません。
従って、エラーの情報を複数保持しておくことはできません。


On Error Resume Next の使用例

Dim i As Long
On Error Resume Next
i = "ABC"
If Err.Number <> 0 Then
  MsgBox Err.Description
  Err.Clear
End If
MsgBox Err.Number

この場合、メッセージボックスには、
「型が一致しません」と表示されます。

Err.Clearこれでエラー情報をクリアしています。
クリアしないと、エラー情報はそのまま残っています。
次のエラーが発生したことを判断できるように、エラー処理の後でクリアするようにします。
Err.Clearを実行すると、Errオブジェクトがクリアされエラー情報は消去されます。
従って、最後のメッセージ表示は「0」となります。

エラー処理を理解することはとても重要です。
ステップイン実行(F8) で、その動作をしっかりと確認してください。

・実行、中断、リセット(停止) ・ステップ実行 ・呼び出し履歴 ・VBA実行途中で変数の状態を確認 ・Debug.Print ・Debug.Assert ・デバッグの最後に


「On Error Resume Next」の最後に

エラー処理はマクロVBAにおいて極めて重要です。
もちろん、エラー発生しないようにVBAを書くべきではありますが、
エクセルVBAでは、避けようのないエラー(でしか判定できないような場合)も存在します。

エラー処理を正しく行えるかどうかは、VBAスキルの判断になるとも言えます。
前回のOn Error Go Toと合わせてしっかりと習得してください。

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