VBA入門
他のブックのマクロを実行(Runメソッド)

ExcelマクロVBAの基本と応用、エクセルVBAの初級・初心者向け解説
公開日:2014-06-27 最終更新日:2023-07-06

第127回.他のブックのマクロを実行(Runメソッド)


他のブックの中にあるプロシージャー(Sub,Function)を実行する場合は、Application.Runメソッドを使います。


別々に作成されたマクロVBAの入ったブックを連携させる時には必須になります。


Application.Runメソッド

マクロの実行または関数の呼び出しを行います。

Application.Run(Macro, Arg1, Arg2, Arg3, ・・・, Arg30)
Macro オプション 実行するマクロを指定します。

他ブックのマクロの場合は、
ブック名!プロシージャー名

と指定します。
Arg1-Arg30 オプション 関数に渡す引数を指定します。

このメソッドの引数では、名前付き引数は使用できません。
・仮引数と実引数 ・メソッドとは ・名前付き引数について ・名前付き引数の例文 ・名前付き引数の必要性
引数を順番通りに指定する必要があります。

プロシージャーに渡すことができる引数は最大30個までとなっています。
Call Application.Run(ブック名!プロシージャー名, 引数1, 引数2, 引数3, ・・・, 引数30)

戻り値
Run メソッドは、呼び出したマクロが返す値をそのまま返します。
Runで実行したプロシージャーの戻り値を受け取り、その値をそのまま返します。

実行したプロシージャーがSubプロシージャーの場合は何も返しません。


Application.Runの使用例

使用例1

Book1.xlsm
Sub test1(arg1 As String)
  MsgBox arg1
End Sub

Book2.xlsm
Sub test2()
  Call Application.Run("Book1.xlsm!test1", "ブック間のマクロテスト")
  'または
  'Application.Run "Book1.xlsm!test1", "ブック間のマクロテスト"
End Sub

Book2のtset2を実行すると、
「ブック間のマクロテスト」
と、メッセージボックスに表示されます。

マクロ VBA 他ブックのマクロ起動


使用例2

Book1.xlsm
Function mult(num1, num2)
  mult = num1 * num2
End Function

Book2.xlsm
Sub test()
  MsgBox Application.Run("Book1.xlsm!mult", 3, 4)
End Sub

Book2のtsetを実行すると、
掛け算の結果がメッセージボックスに表示されます。

マクロ VBA 他ブックのマクロ起動


注意点

Runで呼び出した先で、呼び出し元(Runを実行したブック)を閉じると、マクロはその時点で停止します。

Book1.xlsm
Sub test1()
  Workbooks("Book2.xlsm").Close
  MsgBox "これは実行されません。"
End Sub

Book2.xlsm
Sub test2()
  Application.Run "Book1.xlsm!test1"
End Sub

Book2のtset2を実行しても、Book1のtest1でBook2を閉じた時点でマクロは終了します。
従って、上記ではメッセージボックスは表示されません。


Application.Runの必要性

本来は、このようなブック間でプロシージャーを起動することは、あまり望ましい状態ではありません。
ブックの依存関係(親子関係)をしっかり設計して、動作順を考慮しておけばApplication.Runを使う必要性はかなり減らせるはずです。

例えば、ブックのイベントを使用して開いたときに実行する等での対応という事になります。
第124回.Workbookのイベントプロシージャー
・Workbookのイベント一覧 ・イベントプロシージャー追加のVBE操作 ・Workbook_Open:Workbookのイベント ・Workbook_BeforeClose:Workbookのイベント ・Workbook_SheetChange:Workbookのイベント

とはいえ、
後から追加していく形でシステムを拡張していったりとか、相応に大きなシステムになれば、
どうしてもこのような手段が必要になってくるものです。
そのような時のためにも、必ず抑えておきたい機能になります。




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