エクセル顧客管理
配列の使い方について

Excelマクロを駆使したカスタマイズ可能なエクセル顧客管理、エクセルVBAの学習教材
公開日:2013年5月以前 最終更新日:2014-11-11

第30回.配列の使い方について


エクセルで顧客管理を作ろう、


前回で、「売上明細」を作成しました、


一部漏れもあったようで、消費税や総額が保存されていませんでした、


作成方法は同じなので、名前定義の追加、VBAへの追記を同様にすれば良いでしょう。


これから、「売上一覧」(伝票毎の合計一覧)を作成するのですが、


プログラムを作成してみたところ、配列処理をかなり駆使する必要があります。


数万件になった場合の処理時間を考慮すると、それなりのテクニックが必要になります。


いきなりコードを掲載しても、解説が難しくなってしまいます。


そこで、今回は、配列についての基礎知識をまとめました。



配列とは


シートのセルを考えて下さい。


縦1列だけを取り出した場合は、1次元の配列です。


縦横の複数行列を取り出した場合は、2次元の配列です。


このようなデータを変数で扱うのが、配列になります。


2次元以上の次元の配列を、多次元配列とも言います。



1次元の配列


Dim 配列名(10) As Variant

これで、11個の要素を持つ1次元の配列になります。

あれっ、10個じゃないの?となりますが、

正しいのです。

配列は、0~10になるのです、ですから11個になります。

データ型は、自由に指定可能です。



使用方法は


配列名(インデックス)

インデックスとは、つまりは何番目かという事です。

配列の要素に振られた番号です。

通常は、0,1,2と振られています。


また、

Dim 配列名(5 To 10) As Variant

のような記述もあります。

これは、5番目から10番目のみ使用するといった感じです。

これを使用するのは、かなり限定的だと思われますが、

後述の注意でもあるように、使用すると便利な場合もあります。



2次元の配列なら


Dim 配列名(10,5) As Variant

これで、縦11個、横6個の要素を持つ2次元の配列になります。

縦横と表現しましたが、イメージしやすいように言ったまでで、

10が1次元、5が2次元になります。


使用方法は、

配列名(1次元インデックス,2次元インデックス)

つまり、

配列名(0,0)~配列名(10,5)

のようになります。



3次元以上も同様ですが、あまり使用はお勧めしません。

エクセルVBAにおいて、感覚的に直ぐに理解できるのは、2次元までだと思っています。


上記のように、最初から、次元数、要素数を定義する配列の事を、

下の動的配列に対し、静的配列と呼びます。



動的配列


プログラムを作成していると、配列の要素数が固定で決められない場合が多くなります。


実行時に、シートの内容によって、要素数を決定したくなります。


このような場合に、使用するのが、動的配列です。



プログラムの中で、次元数、要素数を決定したり、途中で要素数の変更をします。



動的配列の定義


Dim 配列名() As Variant

のように、配列であることだけを定義します。



1次元配列の要素数の指定


ReDim 配列名(10)

これで、1次元10の配列になります。


これは何回でも、変更可能です。

ただし、それまでのデータは全てなくなります。

それでは都合が悪い場合があります。

それまでのデータをそのままにして、要素数のみ変更したい場合は、

ReDim Preserve 配列名(10)

データが残り、要素数のみ変更されます。



2次元以上の配列の次元、要素数の指定


ReDim 配列名(5,10)

これで、2次元配列になり、1次元が5、2次元が10の配列になります。


これも何回でも、変更可能です。

ただし、変更できるのは、最下位の次元のみです。

上で言えば、2次元目の10のみ変更可能です。

つまり、ReDim 配列名(6,10)とは変更できません。

できるのは、ReDim 配列名(5,11)のような指定だけです。


1次元配列同様に、データを残す場合は、

Preserve

を指定します。



動的配列の要素数の取得


動的配列を使っていると、今この配列の要素数がいくつなのかを知る必要が出てきます。

取得方法は、

要素数の最大値:UBound(配列名[,次元数])

要素数の最小値:LBound(配列名[,次元数])

次元数を省略した場合は、1次元になります。


例えば、ReDim 配列名(5,10)

の場合、UBound(配列名,1)なら5、UBound(配列名,2)なら10が返されます。



配列使用時の注意


普通に定義した配列、

ReDim 配列名(5,10)

は、インデックスが0から始まります。


しかし、人間の感覚では、0番目というのは、いかにも使いづらいです。

そこで、0番目を無視して、1番目から使う事がよくあります。


それはそれで問題ありませんし、プログラムも分かりやすいと思います。

ただし、シートのセル範囲と、データをやりとりする場合は注意が必要です。


ReDim 配列名(5,10)

に、配列名(1,1)~配列名(5,10)の範囲にデータを入れ、

シートに戻す場合、

Range("A1:J5") = 配列名

としてしまいそうです。

しかし、これでは、配列名(0,0)~配列名(4,9)の範囲しか入りません。


もちろん、配列を2重ループで1つづつ入れれば良いのでしょうが、

それでは、処理時間がかかり過ぎます。

数千、数万行のデータでは、現実的には厳しくなります。


このような場合は、やはり、インデックスの0から使用するか、

ReDim 配列名(1 To 5, 1 To 10)

のように指定する必要があります。

これなら全く問題はありません。


また、

Dim 配列名() As Variant

に対し、

配列名 = Range("A1:J5")

とした場合は、配列は、(1 To 5, 1 To 10)となっていますので注意して下さい。


0番目をどうするかは、意見の分かれる所でしょうし、まあ好みかもしれません。

私は、ほとんどの場合、LBound~UBoundを処理するように記述しています。

そのようにしておけば、どちらでも、ほとんどプログラムに変更はありません。

しかし、ここまで書いてきて感じたのは、

初心者の方は、(1 To 5, 1 To 10)のように定義し、1から使用する。

これが、最も分かりやすく、間違いが無いだろうと思います。


追加の説明として、

Split関数(文字列を、区切り文字で分割し、配列にする)や、

コンボボックスのListの取得等は、必ず0からになりますので、

0スタートにも慣れておく必要はあります。



今回は、作成済のプログラムの説明を書こうとして、行き詰ってしまったので、


急遽、内容を変更しての記事でした。


ちょっと準備不足でしたので、説明不足だったかもしれません。


配列は、VBAでは習得すべき必須項目です。


簡単なマクロで、いろいろ練習してみるのが、よろしいと思います。





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