VBA入門
RangeとCellsの使い方

ExcelマクロVBAの基本と応用、エクセルVBAの初級・初心者向け解説
公開日:2013年5月以前 最終更新日:2021-10-16

第11回.RangeとCellsの使い方


VBA Range Cells


VBAではセルを指定する方法としてRangeCellsがあります。
RangeもCellsも、どちらもRangeオブジェクトでセルを指定するものです。


✅どちらを使ったらよいのでしょうか
✅どう使い分けたらよいのでしょうか

実際のマクロVBA記述では、RangeとCellsを使い分ける必要があります、
RangeとCellsの使い方・使い分け方について解説をします。

以下で、基本的な使い分け方から、使用する場面に応じての実際の書き方を見ていきましょう。


RangeとCellsの基本的な使い分け方

Rangeを使うのは

固定位置のセルの場合
セル範囲(複数セル)の場合
名前定義を使う時

以上のいずれかになります。
単一セル(1つの)セルの指定で変数を使う場合は、Cellsを使うようにします。

Cellsを使うのは

単一(1つの)セルを指定する場合

複数セルであるセル範囲や名前定義をCellsで指定することはできません。


固定セル(固定位置)の指定

最初に書いたように、固定位置で条件によって変化する事が無い場合は、

Range("B2")
Range("A1:C5")
Range("1:5")
Range("A:C")

このように書けば良いでしょう。

また、名前定義を使って、
Range("名前定義の名前")
このように名前定義を使う場合は、Rangeでしか記述できません。


Rangeに変数は使わないようにします

時々、このような書き方を見かけます、

Range("A" & i)
iは変数で、数値が入っている場合です。
(変数については、次回に説明します。)

このような使い方は極力避けましょう。
使ってはダメだという事でもないのですが、あまり良い書き方ではありません。

そして、実行速度もほんの僅かではありますが遅くなります。
つまり、このような記述をする特段の理由が見当たらないという事になります。
変数を使う場合は、Cellsがあるのですから基本的にはこれを使うようにしましょう。

とはいえ、
Rangeに変数を使う場面として、これならありかなという場面としては
繰り返し処理の中ではなく、範囲の最後が変数に入っているような場合でしょうか。
変数の、lastRowに最後の行数が入っているとして、その範囲に何か設定するような場合。

Cellsを使うと、
Range(Cells(2, 1), Cells(lastRow, 1)) = ""
Range(Cells(2, 3), Cells(lastRow, 3)) = ""

Rangeだけで書くと、
Range("A1:A" & lastRow) = ""
Range("C1:C" & lastRow) = ""

これなら、どちらもありだとは思います。
特に、後々に出てきますがRangeやCellsにシート指定をするようになると、
Rangeで書くほうが記述がかなり短く済むので使っても良いと思います。

ただしこの場合でも、実はResizeプロパティを覚えると、もっと簡単に記述することができるようになります。
・Resizeプロパティの構文 ・Resizeの使用例 ・Resizeのまとめ
したがって、Rangeで変数を使う事はVBAの学習が進めばなくなってくるものと思います。


1つの(VBAで位置を変化させる)セルを指定する場合

VBAで位置を変化させるような1つのセルを指定する場合の書き方の基本は、

Cells(行, 列)

このように書いて下さい。
列は、数字だけでなく、列記号も使えます。

Cells(5, 3)
Cells(5, "C")

どちらで書いても同じC5セルになります。

※上記では固定数値で書いていますが、マクロVBAではこの数値部分を変数で指定する場合が多くなります。

変数 ijに数値が入っているとして、
Cells(i, 3)
Cells(i, j)
このように書きます。


セル範囲(複数セル)を指定する場合

セル範囲(複数セル)の場合の書き方の基本は、

Range(始点セル, 終点セル)

この、始点セルと終点セルに、Cellsを指定します。

Range(Cells(行, 列), Cells(行, 列))

このように書きます。
例えば、

A1セルからA5セルなら
Range(Cells(1, 1), Cells(5, 1))

A1セルからC1セルなら
Range(Cells(1, 1), Cells(1, 3))

A1セルからC5セルなら
Range(Cells(1, 1), Cells(5, 3))

このようになります。
※上記では固定数値で書いていますが、マクロVBAではこの数値部分を変数で指定する場合が多くなります。

変数 i に数値が入っているとして、
Range(Cells(1, 1), Cells(i, 1))
Range(Cells(1, 1), Cells(1, i))
このように書きます。


複数行全体、複数列全体の指定

複数行の場合、1行から5行なら、
Range(Rows(1), Rows(5))

複数列の場合、1列(A列)から3列(C列)なら、
Range(Columns(1), Columns(3))

このように指定します。
※上記では固定数値で書いていますが、マクロVBAではこの数値部分を変数で指定する場合が多くなります。

変数 i に数値が入っているとして、
Range(Rows(1), Rows(i))
Range(Columns(1), Columns(i))
このように書きます。


RangeとCellsの使い分け方のまとめ

RangeとCellsの使い分け方については、
セル範囲と名前定義の場合はRangeを使う、それ以外はCellsを使う。
これが基本になります。

別の言い方をすれば、
変数を使う時はCells、Rows、Columnsを使用すると言う事です。


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・Excel2010までのRangeオブジェクトのプロパティ一覧 ・Excel2016で追加されたRangeオブジェクトのプロパティ一覧 ・スピルにより追加されたRangeオブジェクトのプロパティ一覧
Rangeのメソッド一覧 ・・・ 詳細解説ページへのリンクあり
・Excel2010までのRangeオブジェクトのメソッド一覧 ・Excel2013で追加されたRangeオブジェクトのメソッド一覧 ・Excel2016で追加されたRangeオブジェクトのメソッド一覧

RangeやCellsの書き方次第で、マクロVBAの見た目が大きく変わってきます。
処理結果が同じであるなら、読みやすいVBAコードを書くようにしましょう。





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