エクセル顧客管理
イベントを使ってマクロを起動させる

Excelマクロを駆使したカスタマイズ可能なエクセル顧客管理、エクセルVBAの学習教材
公開日:2013年5月以前 最終更新日:2014-11-11

第9回.イベントを使ってマクロを起動させる


エクセルで顧客管理を作ります、


前回までで、「顧客一覧」から、「顧客登録」のシートを作成し、


「顧客登録」の「顧客番号」で、「顧客一覧」よりデータの取得まで出来ました。


しかし、手動でマクロを起動したのでは、面倒ですよね。


手っ取り早いのは、フォームコントロールのボタンを付けて、それにマクロを割り当てます。


これは、今後必ずでてきますので、その時に説明します。


今回は、イベントとファンクションキーでマクロを起動させます。


シート「顧客登録」のシートモジュールを表示します。


シートモジュールの表示方法

1.VBEで、シート「顧客登録」を選択します。

2.ダブルクリック、「表示」→「コード」、F7のいずれか


ここに以下のコードを貼り付けて下さい。

Private Sub Worksheet_Change(ByVal Target As Range)
  If Target.Address = 開始セル取得("顧客登録").Offset(0, 1).Address Then
    Call 顧客一覧より取得
  End If
End Sub


↓貼り付け前

Excel VBA 解説

↑貼り付け後


このようになったはずです。


左(Generals等)は、オブシェクトのプルダウンです。

右(Declarations)は、プロシージャーですが、ここではイベントのプルダウンになっています。

つまり、WorksheetオブジェクトにChangeイベントのプロシージャーを作成した事になります。

右のプロシージャーのプルダウンからイベントを選択すると、自動でそのプロシージャーが作成されます。


Private Sub Worksheet_Change(ByVal Target As Range)


これは、シート内のセルの値に変更があった時に起動されるイベントです。

また、Privateになっていますので、他のモジュールからは参照できません。

シートモジュールにおいても、Publicは使用可能ですが、

かなり特殊な場合を除いて使用するべきではありません。

Targetには、変更されたセル範囲が渡されてきます。


If Target.Address = 開始セル取得("顧客登録").Offset(0, 1).Address

開始セル取得("顧客登録)は、「顧客番号」の見出しセルですので、

開始セル取得("顧客登録").Offset(0, 1)は、右横の顧客番号の入力セルになります。

つまり、変更されたセルが、顧客番号の入力セルの場合に処理するようにしています。


これで、顧客番号を入力すると、自動的に、モジュール「顧客一覧より取得」が起動されます。


顧客番号を入力して見て下さい。


どうです、データが表示されましたよね。



では、「顧客一覧」で選択した行の顧客データを、「顧客登録」に表示させる方法を考えましょう。


この場合は、イベントを使うのは難しいです。


難しいというより、かえって使いづらくなってしまいます。


そこで、行を選択後、使い手に何らかのアクションをしてもらうことになります。


前述のように、ボタンでもよいのですが、マウスをあっちへこっちへとなってしまうので、ちょっと使いづらくなってしまいます。


各行に小さいボタンを自動作成したりと、いろいろ方法はありますが、今回はファンクションを使ってみましょう。


どのファンクションでもよいのですが、あまり使用しないもので、F1にしましょう。


ヘルプがみたければ、マウスを使っても問題無いでしょう。


ブックモジュールを表示します。

1.VBEで、「ThisWorkbook」を選択します。

2.ダブルクリック、「表示」→「コード」、F7のいずれか


ここに以下のコードを貼り付けて下さい。

Private Sub Workbook_Open()
  Application.OnKey "{F1}", "ファンクションF1"
End Sub


Private Sub Workbook_Open()

これは、ブックを開いた時に起動されるイベントです。


Application.OnKey "{F1}", "ファンクションF1"
これは、「F1」を押した時に、「ファンクションF1」というモジュールを起動します。



次に、モジュール「Mod共通」に、以下のコードを貼り付けて下さい。

Sub ファンクションF1()
  Dim strWork As String

  Select Case True
    Case ActiveSheet Is シート取得("顧客一覧")
      If Not IsEmpty(Cells(ActiveCell.Row, 開始セル取得("顧客一覧").Column)) And _
       ActiveCell.Row > 開始セル取得("顧客一覧").Row Then
        strWork = Cells(ActiveCell.Row, 開始セル取得("顧客一覧").Column)
        Call 顧客登録シート作成
        開始セル取得("顧客登録").Offset(0, 1) = strWork
        Call 顧客一覧より取得
      End If
  End Select
End Sub


Case ActiveSheet Is シート取得("顧客一覧")

現在のシートが「顧客一覧」の場合のみ処理するように判定しています。

この時点では、他シートの処理が存在しないので、Ifでも良さそうですが、

今後、増える可能性が多いので、あえて、Select Caseを使用しています。

このようなコーディングが保守性を高めます。


If Not IsEmpty(Cells(ActiveCell.Row, 開始セル取得("顧客一覧").Column)) And _
       ActiveCell.Row > 開始セル取得("顧客一覧").Row Then

ActiveCell.Rowは現在選択されている行です。

開始セル取得("顧客一覧").Column)、顧客番号の列になります。

従って、選択行の顧客番号が空白では無い時に処理するようにしています。

ActiveCell.Row > 開始セル取得("顧客一覧").Row

は、見出し行より下の場合のみ処理するための判定です。


strWork = Cells(ActiveCell.Row, 開始セル取得("顧客一覧").Column)

顧客番号を変数に保存
Call 顧客登録シート作成

シート「顧客登録」を作成
開始セル取得("顧客登録").Offset(0, 1) = strWork

変数に保存した顧客番号を、「顧客登録」に設定
Call 顧客一覧より取得
「顧客一覧」より、顧客データを取得


以上で、完了です。


「顧客一覧」で、適当な行の適当なセルを選択し、「F1」を押してみて下さい。


どうでしょうか?


「顧客登録」が表示され、選択行の顧客データが表示されたはずです。



なんとなく、プログラムっぽくなってきましたね。


さすがに、ここまでのコードを全部貼り付けた人はいないと思いますので、



ここまでの、エクセルのサンプルファイルです。


今回の復習

シートモジュール

ブックモジュール

Application.OnKey




同じテーマ「エクセル顧客管理」の記事

第6回.ここまでの復習

エクセルで顧客管理を作ります、ここまで、ハイペースで来ましたので、一旦整理しながら復習します、まず、エクセルのシートの確認です。シート「顧客一覧」シート「項目名」シート「顧客一覧」の「顧客区分」に、「入力規則」の「リスト」を設定します。名前定義 1.シート「項目名」を選択 2.Ctrl+F3を押して下さい。
第7回.本格的なプログラムへ
エクセルで顧客管理を作ります、前回までのプログラムは、説明の為のコーディングをした部分があります、本格的なプログラムを目指す為に、いろいろ手直ししようと思います。コーディングは好みの部分も大きいのですが、最も気を付けるべき事は、1.可読性 2.保守性 3.処理スピード になるかと思います。
第8回.顧客一覧より顧客データを取得
エクセルで顧客管理を作ります、これまでの感じはどうでしょうか、本当は、ここまでの全てが理解出来ていれば、もう自分でどんどんプログラムを作れてしまうと思います。つまり、全てが理解出来る人は、このブログを読んだりはしないと言う事です。と言う事は、全ては理解出来ていないからこそ、読まれているのですよね。
第9回.イベントを使ってマクロを起動させる
第10回.コーディングとデバッグ
エクセルで顧客管理を作ります、前回までで、「顧客一覧」→「顧客登録」、が自動化出来ました、しかも、シート名も自由に変更できます。これだけでも、いろいろ応用範囲があり、結構使えるはずです。「何かの一覧」→「何かの登録」、として自由に使用が可能です。
第11回.顧客登録より顧客一覧へ更新
エクセルで顧客管理を作ります、プログラム完成へ向けて一気に突き進みましょう、今回は、「顧客登録」で入力した内容を、「顧客一覧」へ更新します。「顧客番号」が存在しない場合は、最終行の次へ、存在する場合は、その行へ更新します。その前に、まずSubモジュール「顧客一覧より取得」を少し修正します。
第12回.最終行の判定、Rangeオブジェクトと配列、高速化の為に
エクセルで顧客管理を作ります、前回までで、だいぶそれらしくなってきました、今回は、前回の「最終行の判定」に問題があったので、その修正をします。最終行の判定 前回は、モジュール「顧客一覧へ登録」において、.Cells.SpecialCells(xlLastCell).End(xlUp).Row と Cells(Row…
第13回.コントロールのボタンを配置
エクセルで顧客管理を作ります、前回は、話が難しかったかもしれません、今回は簡単です、コントロールのボタンを配置して、マクロを割り当てます。「顧客一覧」から、新規登録する為に、「顧客登録」のシートへ移動する為に使用します。直接シート選択すれば良さそうですが、最終的には、シート名は非表示にすることになりますので。
第14回.オブジェクトとプロパティの真実(GW特別号No1)
エクセルで顧客管理を作ろう、今回は、ゴールデンウイークでもあり、説明漏れの部分について、詳細な説明をすることにします。(ゴールデンウイークと関係ないのでは、と突っ込まないで) オブジェクトとプロパティについて、もう少し詳しい解説をします。対象は、VBA中級以上になると思いますが、初級の方でも、VBAって奥が深いんだ…
第15回.記述による処理速度の違い(GW特別号No2)
エクセルで顧客管理を作ろう、ゴールデンウイーク特別号No2です、今回は、記述の違いで、どの程度処理速度に変化があるかを検証します。テストは以下の4点です。1.変数の型指定 2.罫線の引き方 3.行高の変更 4.配列を使用した処理 この4点について、実測して検証してみました。
第16回.処理速度の向上はどこまでやれば良い(GW特別号No3)
エクセルで顧客管理を作ろう、ゴールデンウイーク特別号No3です、前回の「記述による処理速度の違い」が好評(本当に?)のようでしたので、再度、処理速度に関する内容をお届けします。実際に、作成中の顧客管理で処理速度対策を施してみます。具体的にどの処理を対策するかですが、以前から気になっていたのですが、「顧客一覧」でF1…


新着記事NEW ・・・新着記事一覧を見る

TRIMRANGE関数(セル範囲をトリム:端の空白セルを除外)|エクセル入門(2024-08-30)
正規表現関数(REGEXTEST,REGEXREPLACE,REGEXEXTRACT)|エクセル入門(2024-07-02)
エクセルが起動しない、Excelが立ち上がらない|エクセル雑感(2024-04-11)
ブール型(Boolean)のis変数・フラグについて|VBA技術解説(2024-04-05)
テキストの内容によって図形を削除する|VBA技術解説(2024-04-02)
ExcelマクロVBA入門目次|エクセルの神髄(2024-03-20)
VBA10大躓きポイント(初心者が躓きやすいポイント)|VBA技術解説(2024-03-05)
テンキーのスクリーンキーボード作成|ユーザーフォーム入門(2024-02-26)
無効な前方参照か、コンパイルされていない種類への参照です。|エクセル雑感(2024-02-17)
初級脱出10問パック|VBA練習問題(2024-01-24)


アクセスランキング ・・・ ランキング一覧を見る

1.最終行の取得(End,Rows.Count)|VBA入門
2.セルのコピー&値の貼り付け(PasteSpecial)|VBA入門
3.変数宣言のDimとデータ型|VBA入門
4.繰り返し処理(For Next)|VBA入門
5.RangeとCellsの使い方|VBA入門
6.ブックを閉じる・保存(Close,Save,SaveAs)|VBA入門
7.セルのクリア(Clear,ClearContents)|VBA入門
8.メッセージボックス(MsgBox関数)|VBA入門
9.条件分岐(Select Case)|VBA入門
10.マクロとは?VBAとは?VBAでできること|VBA入門




このサイトがお役に立ちましたら「シェア」「Bookmark」をお願いいたします。


記述には細心の注意をしたつもりですが、
間違いやご指摘がありましたら、「お問い合わせ」からお知らせいただけると幸いです。
掲載のVBAコードは動作を保証するものではなく、あくまでVBA学習のサンプルとして掲載しています。
掲載のVBAコードは自己責任でご使用ください。万一データ破損等の損害が発生しても責任は負いません。


このサイトがお役に立ちましたら「シェア」「Bookmark」をお願いいたします。
本文下部へ