エクセル雑感
脱Excelか、真のExcel活用か:現場実態の二者択一

ExcelマクロVBAとエクセル関数についての私的雑感
公開日:2025-10-15 最終更新日:2025-10-29

脱Excelか、真のExcel活用か:現場実態の二者択一


現場のExcel業務は、効率化と複雑化の境界に立たされています。
今こそ「脱Excel」「真のExcel活用」か、明確な選択が求められています。



1. 完全自動化を目指すならVBA一択

パワークエリや数式を中途半端に混在させると、将来のトラブルや拡張の際に、かえって保守が複雑になるリスクがあります。
システム保守において、ワンストップで完結する技術が有利であることは、改めて説明するまでもありません。
単一の仕組みで完結できることは、原因追及や改修作業を容易にし、長期的な運用の信頼性にも直結します。

  • ポイント
    • Excel内部で完結する完全自動化にはVBAが最適
    • パワークエリや数式の混在は保守を複雑化
  • 理由
    • ワンストップで処理が完結 → 原因追及・改修が容易
    • 長期運用の信頼性向上


2. 本当に完全自動化は必要か

ただし、そもそも完全自動化が本当に必要なのかは、十分に検討する必要があります。
自動化するだけなら、そもそもExcelである必要はありません。
PythonやRPAツール、専用業務システムなど、より合理的な選択肢も存在します。
まずは「なぜExcelを使うのか」を明確にするところから再検討すべきです。

  • ポイント
    • 自動化の目的は何か?
    • Excelでなければいけない理由は?
  • 代替手段
    • RPA / 専用業務システム
    • 処理の堅牢性や拡張性でExcel以外が合理的な場合も


3. Excelの真価と現実

Excelの真価は、誰もが知っている使い慣れたインターフェース・画面と、人がデータを随時確認・調整できる「半自動」の柔軟性にあります。
入力・確認・分析・調整を一画面で完結できることは、属人化を防ぎつつ効率的に業務を進められる大きな強みです。

しかし、VLOOKUPも使えないユーザーが存在する現状は、この強みを根底から損なっています。
全ユーザーのスキル底上げがコスト・時間的に困難な場合は、潔く脱Excelを検討する必要があります。

  • Excelの強み
    • 誰もが使い慣れた画面
    • データを確認・調整できる「半自動」の柔軟性
    • 入力・確認・分析・調整を一画面で完結
  • 現実の課題
    • VLOOKUPも使えないユーザーが存在 → 強みを損なう
    • スキル底上げが難しい場合は、脱Excelも選択肢
  • 図解(概念)
    • [ユーザー操作] + [半自動処理] → 効率化と柔軟性
    • スキル不足 → 柔軟性の低下・エラー増


4. 取るべき具体的な行動

スキル底上げによるExcel活用の最大化

Excelの真価を最大限に引き出すためには、全ユーザーのスキルを「VLOOKUPを含む基本関数を自在に使える水準」まで引き上げる教育と仕組みを整備することが不可欠です。
これにより、半自動の柔軟性を活かしつつ、エラーや属人化を減らせます。

Excelの利用範囲を限定して専門システムへ移行

これがコスト面や時間的に非現実的な場合は、Excelの利用範囲を「単なる入力・閲覧」に限定し、データの処理や管理は堅牢で一元管理可能な専門の業務システムやデータベースに移行すべきです。

  • ポイント
    • スキル底上げによるExcel活用の最大化
      • 全ユーザーを「VLOOKUP含む基本関数が使える」レベルまで教育
      • 半自動運用の柔軟性を活かしつつ、属人化やエラーを減らす

    • Excelの利用範囲を限定して専門システムへ移行
      • スキル底上げが非現実的な場合
      • Excelは入力・閲覧のみ → 処理・管理は専門システムへ


5. 避けるべき選択

最も避けるべきなのは、何の努力もせずに、まともにExcelを活用できていない状態を続けていくことです。
現状の非効率な属人化を放置し、改善への決断を先送りすることは、業務停滞の最大の原因となります。

そして、その非効率な状態から生じる、次の行為も同様に避けるべきです。

スキル不足を隠す「負債の複雑化」目的と手段を混同し、現場のスキル不足や非効率な手作業をごまかすために、複雑なパワークエリや数式、あるいは混在したVBAでシートを構築することは、最も避けるべき選択です。

このような中途半端な自動化は、短期的には便利に見えますが、長期的にはシステムがブラックボックス化し、担当者が変わったり仕様が変わるたびに大きな保守コストと運用リスクを生む長期的な負債となります。

  • ポイント
    • 放置は最悪の選択:何の努力もせず、非効率な現状を続けること。
    • ごまかしは負債:目的と手段を混同して、スキル不足を複雑な数式や混在VBAで覆い隠すこと。
    • 中途半端な自動化 → 短期的には便利・ブラックボックス化 → 長期的負債


6. 結論

「真のExcel活用」か「脱Excel」か。
この二択を速やかに決断し、まずは「中途半端に複雑化したExcel」という負の遺産を解消することが、業務効率化の第一歩です。

  • ポイント
    • 判断:Excel活用最大化 or 脱Excel

      負の遺産解消 → 業務改善スタート




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