データの取得:集約集計、並べ替え(DISTINCT,GROUP,HAVING,ORDER)
エクセルVBAでデータベースを扱うためのSQL入門です。
前回もっとも単純なSELECT文(SELECT…FROM…WHERE)を紹介しました。
これは、1行のデータはそのまま1行のデータとして、順番はDBに保存されている順で取得されるものでした。
これらは、エクセルでの重複の削除、SUMIFS関数、そして並べ替え等に相当します。
データの取得:SELECTの構文
FROM テーブル名 , テーブル名 ・・・
[ WHERE 論理式 [, 論理式 ・・・ ]]
[ GROUP BY 任意の式 [, 任意の式 ・・・ ]]
[ HAVING 任意の式 [, 任意の式 ・・・ ]]
[ ORDER BY 任意の式 [, 任意の式 ・・・ ]]
関数については、今後すこしずつ紹介していきます。
グループ化された件数や合計を計算するにはSQL関数を使います。
集計関数(SQL関数)はWHERE句の条件式に指定できませんので、集計後の値を基に条件を指定する場合はこのHAVING句を使用します。
複数の列(または任意の式)を指定でき、それぞれに昇順/降順を指定できます。
テスト用のテーブルとVBAコード
CREATE TABLE t_sales (
'id' INTEGER PRIMARY KEY AUTOINCREMENT NOT NULL
,'code' TEXT NOT NULL
,'name' TEXT NOT NULL
,'address' TEXT
,'sales_date' TEXT
,'item_code' TEXT
,'item_name' TEXT
,'item_price' INTEGER
,'item_count' INTEGER
,'item_amount' INTEGER
,'comment' TEXT
);
以降のサンプルVBAでは、以下のクラスを使用しています。
Sub SelectDistinct()
Dim clsDB As New clsSQLite
clsDB.DataBase = "C:\SQLite3\sample.db"
Dim ws As Worksheet
Set ws = ActiveSheet
Dim sSql As String
sSql = ""
sSql = sSql & ""
sSql = sSql & ""
sSql = sSql & ""
'SQL文字列, 出力セル, シートクリア, 取得カラム名出力
If Not clsDB.SheetFromRecordset(sSql, ws.Range("A1"), enmClear.Clear, True) Then
MsgBox clsDB.ErrMsg
Exit Sub
End If
Set clsDB = Nothing
End Sub
以降では、上記VBAの、
sSql = sSql & ""
この部分の変更としてSQLを掲載します。
DISTINCT句
sSql = sSql & "SELECT DISTINCT code,name"
sSql = sSql & " FROM t_sales"
codeとnameの重複の無いデータを取得しています。
GROUP BY句
グループ化された件数や合計を計算するにはSQL関数を使います。
sSql = sSql & "SELECT code,name,sales_date"
sSql = sSql & ",SUM(item_amount),COUNT(*)"
sSql = sSql & " FROM t_sales"
sSql = sSql & " WHERE code = '001'"
sSql = sSql & " GROUP BY code,name,sales_date"
codeが'001'の日付ごとのitem_amountの合計を取得しています。
SUMは合計を求めるSQL関数です。
COUNTは件数を求めるSQL関数です。
日付データにするには、VBAで以下を実行します。、
With Intersect(ws.Range("A1").CurrentRegion, ws.Columns("C"))
.Value = .Value
End With
このようにValueを入れ直すことで、Excelが自動的に日付データに変換してくれます。
今後より良い方法が見つかりましたら追加記載します。
HAVING句
集計関数(SQL関数)はWHERE句の条件式に指定できませんので、集計後の値を基に条件を指定する場合はこのHAVING句を使用します。
sSql = sSql & "SELECT code,name,sales_date,SUM(item_amount)"
sSql = sSql & " FROM t_sales"
sSql = sSql & " GROUP BY code,name,sales_date"
sSql = sSql & " HAVING SUM(item_amount) > 7000000"
code,name,sales_dateでグループし、item_amountの合計が7000000以上を取得しています。
ORDER BY句
複数の列(または任意の式)を指定でき、それぞれに昇順/降順を指定できます。
sSql = sSql & "SELECT code,name,item_price,item_count"
sSql = sSql & " FROM t_sales"
sSql = sSql & " WHERE code = '001'"
sSql = sSql & " ORDER BY item_price ASC,item_count DESC"
codeが'001'のゼンデータを、
item_priceを昇順、item_countを降順で取得しています。
VBAでのSQL使用例
sSql = sSql & "SELECT code,name,sales_date,SUM(item_amount)"
sSql = sSql & " FROM t_sales"
sSql = sSql & " GROUP BY code,sales_date,item_code"
sSql = sSql & " HAVING SUM(item_amount) >= 250000"
sSql = sSql & " ORDER BY SUM(item_amount) DESC"
code,sales_date,item_codeでグループ化し、
そのグループのitem_amountが250000以上を、
item_amountの合計の降順で取得しています。
列名(カラム名)の別名(エイリアス)をつけるAS句
任意の式 [AS] 別名
sSql = sSql & "SELECT"
sSql = sSql & " code AS コード"
sSql = sSql & ",name AS 名称"
sSql = sSql & ",sales_date AS 販売日"
sSql = sSql & ",SUM(item_amount) AS 合計"
sSql = sSql & ",COUNT(*) AS 件数"
sSql = sSql & " FROM t_sales"
sSql = sSql & " GROUP BY code,sales_date,item_code"
sSql = sSql & " HAVING SUM(item_amount) > 250000"
sSql = sSql & " ORDER BY SUM(item_amount) DESC"
SQLが複雑になってくると、カラム名に短いエイリアスをつけることで、
SQLの他の部分で分かりやすい短い別名で参照することができるようになります。
別名(エイリアス)のより便利な使い方については、今後徐々に説明していきます。
これについては、テーブルの結合の時に詳しく解説します。
データの取得:条件指定の最後に
今後は、複数のテーブルを結合して取得したり、より高度なSQLに進みます。
今回出てきたSUMやCOUNTのようなSQL関数について良く使うものをいくつか解説します。
続けて、データとしては常に注意が必要なNULLについて解説していきます。
その後に、テーブルの結合に進んでいきます。
そこでは、データベースの正規化についても触れていきたいと思っています。
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