VBA技術解説
マクロでShift_JIS文字コードか判定する

ExcelマクロVBAの問題点と解決策、VBAの技術的解説
最終更新日:2019-07-13

マクロでShift_JIS文字コードか判定する


環境依存文字・機種依存文字をチェックしたいという話は時々聞くことなのですが、
何をもってして判別するかという事が実はとても難しい問題になります、
①②もIMEでは[環境依存]と表示されますが、通常これが問題になる事はないでしょう。


そもそもコンピューターの中は2進数だけで表現されているもので、
コンピューターの文字とは、この2進数の数値とフォント(文字デザイン)を対応させたものです。

この数値が文字コードであり、文字との対応づけは様々存在し絶対的なものではありません。
ただし、近年は大分統一されてきており、実際には環境依存文字・機種依存文字を気にしなくても良くなってきています。

このページでは、
UnicodeにあってShift_JISにない文字かどうかを判定する方法です。
Shift_JISには、Unicodeに含まれている特殊な記号や難読漢字が含まれていません。
UnicodeをShift_JISに変換する方法としては、
一定の計算でも求められるかもしれませんが、ここでは文字が正しく表示されるかという観点になります。

想定としては、
UnicodeのテキストファイルをShift_JISのテキストファイルに変換するときと言ったところでしょうか。

ですが、
Windowsのメモ帳もUTF-8(BOMなし)をデフォルトにするらしいので、
このような必要性も今後はかなり減って来るのではないかと思います。
ちなみに、Windowsで単にUnicodeと書かれている場合はUTF-16になります。

文字コードについて

簡単に説明すると、

ASCIIコードは、数字、アルファベット、記号を1バイトで表現
JISコードは、ASCIIコードに日本語(全角)を追加した文字コード
Shift_JISは、半角はJISコードのまま、全角文字をJISコードからシフトした文字コード
Unicodeは、符号化文字集合で、文字コードの国際的な業界標準
UTF-8,UTF-16は、Unicodeを実装した符号化方式です。
BOMは、Unicodeで符号化したテキストの先頭に付与される数バイトのデータです。

文字コードの詳細を説明するのはとても大変です。
WEBを探したところ、詳しく分かりやすく説明しているページがありましたので紹介しておきます。
unicodeとは?文字コードとは?UTF-8とは?
詳しくいろいろなことが書かれているので参考になると思います。

UnicodeにあってShift_JISにない文字の具体例

VBE(VBAのエディター)にて

マクロ VBA 文字コード判定

このように、"?"と表示されてしまい入力できない文字になります。
エクセルはUnicodeに対応していますが、VBEはShift_JISになっているため、
Shift_JISにない文字は、文字化けしてしまい入力できません。

シート構成

マクロ VBA 文字コード判定

A列:判定する文字列
B列:B2=CODE(A2) ・・・ 文字列の先頭文字に対応するASCIIまたはJISコード
C列:C2=UNICODE(A2) ・・・ 文字列の最初の文字に対応するUnicode
D列:VBAのAsc関数 ・・・ 文字列の最初の文字に対応するShift_JISード
E列:配列関数での判定 ・・・ 後述
F列:VBAでの判定 ・・・ 後述

上図を見ていただくとお分かりいただけると思いますが、
CODE関数は、JISにない文字は63を返します。
JISとShift_JISの違い
コード体系が違うだけで、含まれる文字は同じになります。
JISコードでは、漢字コードとASCIIの重なりの判定が面倒であり、
この重なりを防ぐために作られたものがShift_JISになります。
シート関数では、Shift_JISを返す関数が存在しません。
以下のマクロVBAでは、この?(63)となる事を利用して判定しています。

配列数式での判定

E2セルに以下の数式を入れて、
=IF(
  SUMPRODUCT(
    IF(MID(A2,ROW(INDIRECT("1:"&LEN(A2))),1)="?",0,1),
    IF(CODE(MID(A2,ROW(INDIRECT("1:"&LEN(A2))),1))=63,1,0))
  =0,"Shift_JIS","環境依存")

Ctrl+Shift+Enterで配列数式として入れます。
{=IF(・・・}と数式が{}で囲まれて配列数式として入ります。

Shift_JIS文字コードか判定するマクロVBA全コード

本題のマクロVBAでの判定です。

Sub SJIS判定()
  Dim i As Long
  For i = 2 To Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
    Cells(i, 4).Value = Asc(Cells(i, 1).Value)
    If isSJIS(Cells(i, 1).Value) Then
      Cells(i, 6).Value = "Shift_JIS"
    Else
      Cells(i, 6).Value = "環境依存"
    End If
  Next
End Sub

Function isSJIS(ByVal argStr As String) As Boolean
  Dim sQuestion As String
  sQuestion = Chr(63) '?:文字リテラルでは誤解があるといけないので
  Dim i As Long
  For i = 1 To Len(argStr)
    If Mid(argStr, i, 1) <> sQuestion And _
      Asc(Mid(argStr, i, 1)) = Asc(sQuestion) Then
      isSJIS = False
      Exit Function
    End If
  Next
  isSJIS = True
End Function

VBAには、JISコードを返す関数が存在せず、
かつ、WorksheetfunctionにはCode関数が存在しません。

Asc関数は、文字列の先頭文字のShif_JISコードを返す関数です。
Shif_JISに無い文字の場合は、Asc関数の戻り値は?(63)となります。
ただし、
そもそも本当の?の文字は除外しなければなりませんので、
.Value <> "?"
これで判定しています。

上の例では1文字主体で少ない文字数しか実行していませんが、
Function isSJIS
これは、長い文字列にも対応した汎用版の関数にしています。

最後に

近年では、どの環境・機種でも、ほぼUnicodeに対応されているので、
環境依存文字・機種依存文字をあまり気にする必要はなくなってきています。
Windowsのメモ帳がデフォルトにするくらいですから。
そのくらいUnicodeが広く使われるようになってきています。
従って、
このVBAが実際に必要になる事があるのかどうかは、正直分からないところもありますが、
ひょっとして何かのときに役に立つことがあるかもしれないという事で記事にしておきました。



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