VBA技術解説
新規挿入可能なシート名の判定

ExcelマクロVBAの問題点と解決策、VBAの技術的解説
公開日:2019-09-26 最終更新日:2020-10-28

新規挿入可能なシート名の判定


マクロVBAで、
シートの存在確認およびシートとして使える文字列かどうかの判定は、
厳密に行おうとするとかなり大変になってきます。


この件についてTwitterでやり取りがあり、それらを踏まえた上でのVBAコードを参考として公開しておきます。
その時のツイートでのやり取りは、こちら

シート名として使える文字列か判定

Function PermitName(ByVal argName As String) As Boolean
  PermitName = False
  If Len(argName) > 31 Then Exit Function
  If argName = "履歴" Then Exit Function
  If Left(argName, 1) = "'" Then Exit Function
  
  Dim 禁止文字 As Variant
  禁止文字 = Array(vbNullChar, _
           ":", "\", "/", "?", "*", "[", "]", _
           ":", "\", "/", "?", "*", "[", "]", "\")
  Dim i As Long
  For i = LBound(禁止文字) To UBound(禁止文字)
    If InStr(argName, 禁止文字(i)) > 0 Then
      Exit Function
    End If
  Next
  PermitName = True
End Function

シート名の制限として、
・31文字以内
・「履歴」は予約語として使えない
・先頭「'」シングルクォーテーションは使えない
・以下の文字は使用不可
 vbNullChar
 :\/?*[]
 :\/?*[]\

バックスラッシュが全角だけなので、VBAではStrConvを使わずに半角全角の文字を直接記述しています。

シートの存在確認:存在すればシートのオブジェクトを返す

Function SheetExists(ByVal argName As String, _
           Optional ByVal wb As Workbook = Nothing) As Object
  Dim sht As Object
  If wb Is Nothing Then Set wb = ThisWorkbook
  For Each sht In wb.Sheets
    If StrConv(LCase(sht.Name), vbNarrow) = StrConv(LCase(argName), vbNarrow) Then
      Set SheetExists = sht
      Exit Function
    End If
  Next
  Set SheetExists = Nothing
End Function

シート名は、全角・半角、大文字・小文字を区別しない、
つまり、全角・半角違いや、大文字・小文字違いの同名シートは作成できない。
存在判定だけなら、戻り型はBooleanにしたいところだが、
多くの場合、存在した場合はそのシートを使う事になるので、そのシートを戻りとしています。
従って、存在しない場合は、Nothingを戻しています。
また、グラフシート等の場合もあり得るので、データ型としてはObjectにしています。

On Error を使った簡単な存在確認

この場合は全角半角違いが正しく判定できません。

Function SheetExists(ByVal argName As String, _
           Optional ByVal wb As Workbook = Nothing) As Object
  If wb Is Nothing Then Set wb = ThisWorkbook
  On Error Resume Next
  Set SheetExists = wb.Sheets(argName)
End Function

"Sheet1"のシートが存在している場合、
"Sheet1"(全角)は、「インデックスが有効範囲にありません。」のエラーになり、存在しない判定になります。
しかし、"Sheet1"が存在する場合、"Sheet1"のシートは作成できません。
このような全角違いの問題を考慮する必要が無い場合であれば、On Errorでの判定は簡単で良いでしょう。

後日追加

シート名では、
0,1~9
0,1~9
①~⑨
VBA マクロ シート名
これらが区別されません。
全角半角は先のStrConvで変換していますが、丸数字の2種類は別途Functionで変換してチェックしなければなりません。
この変換のVBA自体は難しくありませんが、「VBA マクロ シート名」これらはshift-jisにない為、VBAで固定文字として書くことができません。
ChrW関数で文字コードを指定する必要があります。
さすがに、ここまで必要になる事はあまり無いとは思いますが、一応サンプルVBAを掲載しておきます。

Function ChangeName(ByVal argName As String) As String
  Dim i As Long, j As Long
  Dim RoundNumbers1
  RoundNumbers1 = Array("0", "①", "②", "③", "④", "⑤", "⑥", "⑦", "⑧", "⑨")
  Dim RoundNumbers2(9)
  RoundNumbers2(0) = ChrW(9450)
  For i = 1 To 9
    RoundNumbers2(i) = ChrW(9460 + i)
  Next
  For i = 0 To 9
    argName = Replace(argName, RoundNumbers1(i), i)
    argName = Replace(argName, RoundNumbers2(i), i)
  Next
  ChangeName = StrConv(LCase(argName), vbNarrow)
End Function

必要であれば、先のSheetExistsの、
If StrConv(LCase(sht.Name), vbNarrow) = StrConv(LCase(argName), vbNarrow) Then
これを↓
If ChangeName(sht.Name) = ChangeName(argName) Then
こちらに変更してお使いください。

シートの挿入:存在すればシートのオブジェクトを返す

上記の
PermitName
SheetExists
この二つのFunctionの使い方のサンプルをかねて、
シートを新規挿入する場合のサンプルになります。

Sub sample()
  Dim sht As Object
  Set sht = SheetsAdd("te'st")
  If sht Is Nothing Then
    MsgBox "指定のシート名は使用できません"
  End If
End Sub

Function SheetsAdd(ByVal argName As String, _
          Optional ByVal wb As Workbook = Nothing) As Object
  Set SheetsAdd = Nothing
  If Not PermitName(argName) Then Exit Function
  
  If wb Is Nothing Then Set wb = ThisWorkbook
  Set SheetsAdd = SheetExists(argName, wb)
  If Not SheetsAdd Is Nothing Then Exit Function
  
  Set SheetsAdd = wb.Worksheets.Add
  SheetsAdd.Name = argName
End Function

SheetsAddについては、
引数にシートの挿入位置や、既存シートの場合は削除後に新規挿入するかどうか等々、
もう少し機能アップしたFunctionにするのも良いでしょう。



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