VBAのマルチステートメント(複数のステートメントを同じ行に)
VBAでは、基本的な決まりとして1ステートメントは1行で書くことになっています。
しかし、あまりに長くなってしまうと見づらくなります。
逆に、短いステートメントが多数行になっていても見づらい場合もあります。
VBAでのステートメントという用語について
②完結した一つの文、つまり通常改行する単位の1行全体
For i = 1 To 10
If i > 5 Then
Cells(i, 1) = i
End If
Next
・For ...Then ・・・ 前者①のForステートメント
・If ... ・・・ 前者①のIfステートメント
・For i = 1 To 10 ・・・ 後者②の1行1ステートメント
・If i > 5 Then ・・・ 後者②の1行1ステートメント
・Cells(i, 1) = i ・・・ 後者②の1行1ステートメント
行継続(1ステートメントを複数の行に)
先に1ステートメントを複数行に分けて書く場合の書き方を確認しておきます。
Sub 行継続()
Cells(1, 6).Value = Cells(1, 1).Value & Cells(1, 2).Value & Cells(1, 3).Value & Cells(1, 4).Value & Cells(1, 5).Value
End Sub
Sub 行継続()
Cells(1, 6).Value = Cells(1, 1).Value & _
Cells(1, 2).Value & _
Cells(1, 3).Value & _
Cells(1, 4).Value & _
Cells(1, 5).Value
End Sub
上記2つのVBAは全く同一のものとなります。
VBEを横にスクロールするのはとても見づらいものです。
適宜改行して、見やすく整形しておきましょう。
VBAマルチステートメントの基本
1行のステートメントが非常に短く、かつ何行にもわたっている場合、
VBAの行数が多くなり、全体を見渡すのに不便な場合も出てきます。
そこで、複数のステートメントを1行にまとめて書く書き方がVBAには用意されています。
Dim i As Long
i = 1
これをマルチステートメントとして1行に書くと、
Dim i As Long: i = 1
このように書くことができます。
良くある使い方としては、
Dim i As Long: i = 1
Dim j As Long: j = 1
Dim i As Long, j As Long
i = 1: j = 1
この2つはどちらも同じものになります。
どちらが良いという事はなく、i,jの関係性にもよるでしょう。
i,jが同種のものなのか、全く別のものなのかということと、他の宣言との見た目で使い分けることになるでしょう。
VBAマルチステートメントの応用
しかし、極めて特殊な状況において使いたい場合も出てくるかもしれません。
知識として知っておくことは悪い事ではないという事で、あえて説明しておきます。
ほとんどのステートメントは、:(コロン)でつなげることができます。
ただし、Ifステートメントについてはかなり制限があります。
※以下の参考VBAでは、変数宣言されているものとして変数宣言を省略しています。
If i = 0 Then
i = 1
Else
i = i + 1
End If
これをマルチステートメントとして記述する場合、
If i = 0 Then: i = 1: Else: i = i + 1: End If
これはエラーになります。
If i = 0 Then: i = 1: Else: i = i + 1
このように、End Ifを書かなければマルチステートメントにできます。
If i = 0 Then: i = 1: i = 2: Else: i = i + 1: i = i + 2
このように、Then、Elseにそれぞれ複数のステートメントを入れることも可能です。
では、他の構文ではどうでしょうか。
Select Case i: Case 0: i = 1: Case Is >= 1:: i = i + 1: End Select
For i = 1 To 10: Cells(i, 1) = i: Next
For Each ws In Worksheets: Debug.Print ws.Name: Next
Do While i <= 10: i = i + 1: Loop
With ActiveSheet: i = 1: .Cells(i, 1) = "abc": End With
以上、全て問題なく正しく動作します。
では、これらの構文をネストする場合はどうでしょうか。
With ActiveSheet: For i = 1 To 10: .Cells(i, 1) = i: Next: End With
これは問題ありません。
では、Ifステートメントをネストした場合はどうでしょうか。
For i = 1 To 10: If i = 0 Then: j = 1: Else: j = j + 1: Next
これは入力した時点で赤字エラーとなってしまいます。
Ifステートメントに関しては、前述した通り制限があり使えません。
しかし、これはSelect Caseを使って書き直すことができます。
For i = 1 To 10: Select Case i: Case 0: j = 1: Case Else: j = j + 1: End
Select: Next
これなら問題なく動作します。
どうやら、マルチステートメントにおいてはEnd Ifが書けないことからくる制限で、
ほとんどIfステートメントが使用できなくなってしまっているようです。
その他の制限はほとんど(まだ他にもありそうではありますが)見当たりませんでした。
マルチステートメントの最後に
積極的に使うべきものではないとことは再度言っておきます。
使うとしたら、
「VBAマルチステートメントの基本」で説明した、
変数宣言と初期値代入くらいに限定した使い方までが良いでしょう。
本サイト内でも、変数宣言と初期値代入については使っているVBAも掲載していますので、
今回はマルチステートメントについて詳しく解説しておきました。
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