言語依存の関数を使用できるFormulaLocal
ツイッターでVBAのお題として出したものです。
言語環境に依存する関数をセルに設定する場合のFormulaプロパティの使い方についての問題です。
問題を出したツイート
Range("B1:B10") = "=jis(A1)"
さて、このVBAで正しく数式は設定されるでしょうか?
正しく設定されないとしたら、どのように直したらよいでしょうか?
・全て正しく設定される
・A1セルのみ正しく設定される
・全て正しく設定されない
https://twitter.com/yamaoka_ss/status/1300005324812738562
回答のツイート
https://twitter.com/yamaoka_ss/status/1300421884970893318
ただし解説については、以下により詳細に書いておきました。
詳細解説
このVBAを実行した結果は、
B1=@jis(A1)
B2=@jis(A2)
・・・
このような結果になってしまいます。
複数セルに同一数式を設定する場合は、
Range("セル範囲") = "=先頭セルの数式"
これで一括で設定できます。
Range("B1:B10") = "=ASC(A1)"
これでB1:B10に全て正しく数式が入ります。
絶対参照の$を付けていない相対参照であれば、各セルの数式は入力したセルからの相対位置としてのセル参照になって正しく数式が入ります。
これは手動で数式を入れるときに、複数セルを選択して数式を入れて「Ctrl + Enter」する場合のVBAになります。
では、どこに問題があるかというと、、、
それは、JIS関数そのものです。
英語版では関数名が変わります。
(他の国でもJIS関数が使われている国も存在するようですが少数なはずです。)
このような言語環境によって変化するような関数をVBAでセルに入れる場合は、上記のVBAでは正しく入れることができません。
上記VBAの結果は「#NAME?」となってしまいます。
これはプロパティを指定していないので、Valueプロパティに入れていることになります。
数式を入れるプロパティとしては、
Formula
FormulaR1C1
したがって、言語に依存するJIS関数を入れる場合、これらのプロパティを使ったのでは正しく入れることができません。
JIS関数のような言語環境に依存する関数をVBAで入れる場合は、
Localのついたプロパティを使います。
Formula2Local
FormulaR1C1Local
Formula2R1C1Local
※Formula2はスピル用に用意されたプロパティです。
Range("B1:B10").FormulaR1C1Local = "=JIS(RC[-1])"
スピルさせるなら、
Range("B1").Formula2Local = "=JIS(A1:A10)"
B2からB10セルはスピルして結果が出力されます。
普通に良く使われる関数でこれらを気にする必要は全くありません。
詳しく調べればいくつか出てくるはずですが、ぱっと思い浮かぶのは、
YEN関数
DOLLAR関数
このあたりでしょうか。
これらの関数は、数値を指定した桁数に四捨五入した通貨書式の文字列に変換します。
YENは=@yenに変換されて「#NAME?」になってしまいますし、DOLLERはYENに変換されてしまいます。
ここまで見てくると、ある疑問が浮かんできます。
シートでは、これらの関数は普通に入れられますよね、ではマクロの記録は、、、
マクロの記録を実際にやってみましょう。
→ActiveCell.FormulaR1C1 = "=DBCS(RC[-1])"
→ActiveCell.FormulaR1C1 = "=DOLLAR(RC[-1],0)"
→ActiveCell.FormulaR1C1 = "=USDOLLAR(RC[-1],2)"
マクロの記録で変換された関数は、結果としてWorksheetFunctionにある関数に変換されています。
YEN→DOLLAR
DOLLAR→USDOLLA
Formulaプロパティに入れられるものはValueプロパティにも入れられます。
つまり、
Range("B1:B10") = "=DBCS(A1)"
このVBAの実行結果は、B1:B10にJIS関数が正しく入ります。
JIS ⇔ DBCS
YEN ⇔ DOLLAR
DOLLAR ⇔ USDOLLA
マクロ記録したVBAを見た時に戸惑う事はありえるかもしれません。
Range("B1:B10") = "=jis(A1)"
これを正しく書き直すと、
Range("B1:B10").FormulaR1C1Local = "=JIS(RC[-1])"
Range("B1").Formula2Local = "=JIS(A1:A10)"
Range("B1").Formula2R1C1Local = "=JIS(R1C[-1]:R10C[-1])"
Range("B1:B10").Value = "=DBCS(A1)"
ただし繰り返しになりますが、ほとんどの数式はValueまたはFormulaプロパティで何も問題はありません。
以上で解説を終わります。
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