VBA技術解説
文字列のプロパティ名でオブジェクトを操作する方法

ExcelマクロVBAの問題点と解決策、VBAの技術的解説
公開日:2022-12-14 最終更新日:2022-12-14

文字列のプロパティ名でオブジェクトを操作する方法


ツイッターで拝見したお題で、プロパティ名を引数の文字列で指定する方法についての参考VBAです。
例えば条件付き書式は、
Range → FormatConditions → FormatConditions(1) → Interior → Color
オブジェクトをこのように辿りますが、
"FormatConditions"、"Interior"、"Color"
これらを文字列で指定できるようにします。


具体的にはCallByName関数を使ったPropertyを作成しました。


CallByName関数

CallByName関数は、実行時に指定したオブジェクトのプロパティの設定と取得、およびメソッドの実行を行います。

CallByName(object,procname,calltype,[args()])

引数 内容
object 必ず指定します。
バリアント型およびオブジェクト型のいずれかを指定できます。
この関数の実行対象となるオブジェクトの名前を指定します。
procname 必ず指定します。
バリアント型および文字列型のいずれかを指定できます。
オブジェクトのプロパティ名およびメソッド名を含む文字列式を指定します。
calltype 必ず指定します。
定数値を指定します。
呼び出されるプロシージャの種類を表すvbCallTypeのメンバを指定します。
定数 内容
VbMethod 1 メソッドを実行する
VbGet 2 プロパティの値を取得する
VbLet 4 プロパティの値を設定する
VbSet 8 プロパティにオブジェクトへの参照を代入する
args() 省略可能です。
バリアント型および配列を指定できます。

戻り値は、実行したメソッドまたはプロパティの取得値になります。
第1引数はobjectなので、標準モジュールのプロシージャーをCallByName関数で実行することはできません。

使用例

クラスとCallByNameとポリモーフィズム(多態性)|VBA技術解説
・CallByName関数 ・クラスとCallByNameとポリモーフィズム(多態性)のVBAコード ・オブジェクト(クラス)も動的に変更すると ・最後に


Propertyについて

Propertyについての基本は以下を参照してください。
第140回.Property {Get|Let|Set} ステートメント|VBA入門
・そもそもプロパティとは ・VBAでプロパティを作成するステートメント ・Property {Get|Let|Set} ステートメントの構文 ・Propertyプロシージャの使用例 ・Propertyプロシージャの実践例


文字列のプロパティ名でオブジェクトを操作するVBAサンプル

'CallByNameを使って文字列のプロパティ名でオブジェクトを取得
Property Get CustomProperty(aObj, aProperty)
  On Error Resume Next
  Set CustomProperty = CallByName(aObj, aProperty, VbGet)
  If Err.Number = 0 Then Exit Property
  CustomProperty = CallByName(aObj, aProperty, VbGet)
End Property

'Let Propertyの最後の引数が設定する値になります
Property Let CustomProperty(aObj, aProperty, aValue)
  CallByName aObj, aProperty, VbLet, aValue
End Property

用意するものはこの2つのプロパテイです。
置き場所は何処でも良いですが、標準モジュールで良いでしょう。

Get CustomProperty
これはオブジェクトと単一値(スカラー値)の両方に対応しています。

まずは作成したプロパティの簡単な使い方から。
単一値のプロパテイへの値の設定と取得です。

Sub sample1()
  Dim rng: Set rng = Range("A1")
  CustomProperty(rng, "Value") = 99
  MsgBox CustomProperty(rng, "Value")
End Sub

次は、オブジェクトの階層が少し複雑になっているプロパティを扱うサンプルになります。
条件付き書式のオブジェクトを順に辿ります。
Range → FormatConditions → FormatConditions(1) → Interior → Color

Sub sample()
  Dim rng: Set rng = Range("A1")
  
  'サンプルとして条件付き書式を設定
  With rng.FormatConditions
    .Delete
    With .Add(Type:=xlExpression, Formula1:="=A1=1")
      .Interior.Color = 255
    End With
  End With
  
  'FormatConditionsコレクションを取得
  Dim obj1: Set obj1 = CustomProperty(rng, "FormatConditions")
  
  'コレクションのIndexを指定してFormatConditionを特定
  Dim obj2: Set obj2 = obj1(1)
  
  'FormatConditionのInteriorオブジェクトを取得
  Dim obj3: Set obj3 = CustomProperty(obj2, "Interior")
  
  'Interiorオブジェクトの"Color"にvbBlueを設定
  CustomProperty(obj3, "Color") = vbBlue
End Sub


あまり実用性があるとも思えませんが、
CallByName
Property
これらを理解する学習素材として取り組んでみてもよいかもしれません。





同じテーマ「マクロVBA技術解説」の記事

Select Caseでの短絡評価(ショートサーキット)の使い方

・Select Caseの基本 ・短絡評価(ショートサーキット)について ・Ifステートメントのネストの書き換え ・Select Case での短絡評価(ショートサーキット) ・Select Case を使った短絡評価使用の是非
RangeオブジェクトのFor EachとAreasについて
・正解は ・RangeオブジェクトをFor Eachで取得すると ・RangeオブジェクトをItemで取得すると ・RangeオブジェクトのFor EachとAreasの最後に
画像が行列削除についてこない場合の対処
複数ブック・複数シートを次々に処理していくようなVBAにおいて、行削除や列削除をした時に、画像がセルの移動についてこない場合があります。プロパティは、「セルに合わせて移動やサイズ変更をする」になっている場合です。プロパティで「セルに合わせて移動する」になっているにも関わらず、画像が行列削除で移動しないといった現象が…
新関数SORTBYをVBAで利用するラップ関数を作成
新関数はスピルに対応していてとても便利です。新関数はVBAからもWorksheetFunctionで利用できます。シート関数には件数制限があるので使用する場合は注意が必要ですが、その範囲内ならVBAでもとても便利に利用できます。
LAMBDA以降の新関数はVBAで使えるか
・TEXTSPLIT関数 ・TEXTBEFORE関数,TEXTAFTER関数 ・TOROW関数,TOCOL関数 ・WRAPROWS関数,WRAPCOLS関数 ・VSTACK関数,HSTACK関数
数字(1~50)を丸付き数字に変換するVBA
数値には丸付き数字があります。ただし1~50までしかありません。①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑩⑪⑫⑬⑭⑮⑯⑰⑱⑲⑳㉑㉒㉓㉔㉕㉖㉗㉘㉙ChrW(12…
文字列のプロパティ名でオブジェクトを操作する方法
OneDrive使用時のThisWorkbook.Pathの扱い方
マクロVBAでは、現在動いているマクロVBAが書かれているブックのバス(Path)を取得し、そのフォルダを使って処理を組み立てる方法が良く用いられます。ところがOneDriveと同期しているフォルダでは、このような処理が従来のVBAコードでは行えなくなっています。
セル個数を返すRange.CountLargeプロパティとは
・Countプロバティ ・CountLargeプロバティ ・LongLong型について
画像「セルに配置」のVBAについて(365の新機能)
・IMAGE関数 ・手動で画像を「セルに配置」 ・「セルに配置」⇔「セルの上に配置」 ・「セルに配置」「セルの上に配置」のVBA ・画像が「セルに配置」されたセルのコピー
VBAでクリップボードへ文字列を送信・取得する3つの方法
・VBAの3つの方法について ・1. DataObjectを使うVBA ・2. TextBox を使うVBA ・3. Win32 API を使うVBA


新着記事NEW ・・・新着記事一覧を見る

ブール型(Boolean)のis変数・フラグについて|VBA技術解説(2024-04-05)
テキストの内容によって図形を削除する|VBA技術解説(2024-04-02)
ExcelマクロVBA入門目次|エクセルの神髄(2024-03-20)
VBA10大躓きポイント(初心者が躓きやすいポイント)|VBA技術解説(2024-03-05)
テンキーのスクリーンキーボード作成|ユーザーフォーム入門(2024-02-26)
無効な前方参照か、コンパイルされていない種類への参照です。|エクセル雑感(2024-02-17)
初級脱出10問パック|VBA練習問題(2024-01-24)
累計を求める数式あれこれ|エクセル関数応用(2024-01-22)
複数の文字列を検索して置換するSUBSTITUTE|エクセル入門(2024-01-03)
いくつかの数式の計算中にリソース不足になりました。|エクセル雑感(2023-12-28)


アクセスランキング ・・・ ランキング一覧を見る

1.最終行の取得(End,Rows.Count)|VBA入門
2.セルのコピー&値の貼り付け(PasteSpecial)|VBA入門
3.RangeとCellsの使い方|VBA入門
4.ひらがな⇔カタカナの変換|エクセル基本操作
5.繰り返し処理(For Next)|VBA入門
6.変数宣言のDimとデータ型|VBA入門
7.ブックを閉じる・保存(Close,Save,SaveAs)|VBA入門
8.並べ替え(Sort)|VBA入門
9.セルのクリア(Clear,ClearContents)|VBA入門
10.Findメソッド(Find,FindNext,FindPrevious)|VBA入門




このサイトがお役に立ちましたら「シェア」「Bookmark」をお願いいたします。


記述には細心の注意をしたつもりですが、
間違いやご指摘がありましたら、「お問い合わせ」からお知らせいただけると幸いです。
掲載のVBAコードは動作を保証するものではなく、あくまでVBA学習のサンプルとして掲載しています。
掲載のVBAコードは自己責任でご使用ください。万一データ破損等の損害が発生しても責任は負いません。


このサイトがお役に立ちましたら「シェア」「Bookmark」をお願いいたします。
本文下部へ