RangeオブジェクトのFor EachとAreasについて
【VBA問題】
?Range("A1:B3,C2:E5").Columns.Count
さて結果は?
- 2
- 3
- 5
- にゃんともいえない
ツイッターでこのような出題をしました。
この出題にたいする解説記事になります。
正解は
1つの矩形範囲が1つのArea(というのは無いが説明の便宜上)で、これが複数集まってAreasを形成しています。
この範囲は、以下の画像の選択範囲になります。

C2:E5
これらの1つ1つの範囲がAreaであり、2つのArea(Areas)でRangeオブジェクトが形成させています。
Rangeオブジェクト.Columns.Count
これがなぜ2になるのかというと、既にお分かりだとは思いますが、
先の記述では、
Rangeオブジェクト.Areas(1)
このAreas(1)が省略されていることになります。
つまり、
?Range("A1:B3,C2:E5").Areas(1).Columns.Count → 2
?Range("A1:B3,C2:E5").Areas(2).Columns.Count → 3
RangeオブジェクトをFor Eachで取得すると
このRangeオブジェクトをFor Eachで処理した場合にどうなるでしょうか。
Range("A1:B3,C2:E5")
Dim myRng As Range, rng As Range
Set myRng = Range("A1:B3,C2:E5")
For Each rng In myRng
Debug.Print rng.Address(False, False)
Next


そして、結果は予想通りに指定された範囲のセルが順に処理されていますね。
For Each rng In myRng.Cells
Debug.Print rng.Address(False, False)
Next
Cellsプロパティは、Rangeオブジェクトの全体なので、上のmyRngだけ指定した場合と同様になります。
Range("A1:B3,C2:E5").Rows
For Each rng In myRng.Rows
Debug.Print rng.Address(False, False)
Next


Range("A1:B3,C2:E5").Columns
For Each rng In myRng.Columns
Debug.Print rng.Address(False, False)
Next


Range("A1:B3,C2:E5").Areas
For Each rng In myRng.Areas
Debug.Print rng.Address(False, False)
Next


RangeオブジェクトをItemで取得すると
このRangeオブジェクトを1~CountまでItemで処理した場合にどうなるでしょうか。
Range("A1:B3,C2:E5").Item(i)
Dim myRng As Range, rng As Range, i As Long
Set myRng = Range("A1:B3,C2:E5")
For i = 1 To myRng.Count
Debug.Print myRng.Item(i).Address(False, False)
Next


"A1:B9"の範囲が取得されています。
myRng.Item(i)
これは、Areas(1)が省略されている状態で、
myRng.Areas(1).Item(i)
つまり、
"A1:B3"
このRangeオブジェクトの範囲が拡張されてしまっています。
RangeのItemでは、その範囲を超えてもエラーにならずに、範囲が縦に拡張されて取得されます。
(もちろん、シート範囲を超えてしまう場合はエラーになります。)
Range("A1:B3,C2:E5").Columns.Item(i)
myRng.Columns.Count
これは2になってしまうので、以下では1~5で実行しました。
For i = 1 To 5
Debug.Print myRng.Columns.Item(i).Address(False, False)
Next


myRng.Columns.Item(i)
これは、Areas(1)が省略された状態になってしまいます。
myRng.Areas(1).Columns.Item(i)
つまり、
Areas(1)である"A1:B3"
このRangeオブジェクトの範囲が(Columnsなので横に)拡張されてしまっています。
myRng.Areas(2).Columns.Item(i)
このように取得する必要があります。
Range("A1:B3,C2:E5").Rows.Item(i)
これは3になってしまうので、以下では1~5で実行しました。
For i = 1 To 5
Debug.Print myRng.Rows.Item(i).Address(False, False)
Next


myRng.Rows.Item(i)
これは、Areas(1)が省略された状態になってしまいます。
myRng.Areas(1).Rows.Item(i)
つまり、
Areas(1)である"A1:B3"
このRangeオブジェクトの範囲が(Rowsなので縦に)拡張されてしまっています。
Range("A1:B3,C2:E5").Areas.Item(i)
For i = 1 To myRng.Areas.Count
Debug.Print myRng.Areas.Item(i).Address(False, False)
Next


今回の場合であれば、
myRng.Areas.Countの2を超えて3以上を指定した場合はエラーになります。

RangeオブジェクトのFor EachとAreasの最後に
頻繁に扱う事は無いと思いますが、
手動で範囲選択したRangeオブジェクトや、VBAでUnionしたRangeオブジェクトの場合はAreasに注意が必要になります。
同じテーマ「マクロVBA技術解説」の記事
アクティブシート以外のWindowを設定できるWorksheetView
LSetとユーザー定義型のコピー(100桁の足し算)
省略可能なVariant引数の参照不可をラップ関数で利用
ブックのいろいろな開き方(GetObject,参照設定,アドイン)
入力規則への貼り付けを禁止する
Select Caseでの短絡評価(ショートサーキット)の使い方
RangeオブジェクトのFor EachとAreasについて
画像が行列削除についてこない場合の対処
新関数SORTBYをVBAで利用するラップ関数を作成
LAMBDA以降の新関数はVBAで使えるか
数字(1~50)を丸付き数字に変換するVBA
新着記事NEW ・・・新着記事一覧を見る
シートコピー後のアクティブシートは何か|ツイッター出題回答 (2023-09-19)
Excel関数の引数を省略した場合について|ツイッター出題回答 (2023-09-14)
セル個数を返すRange.CountLargeプロパティとは|VBA技術解説(2023-09-08)
記号を繰り返してグラフ作成(10単位で折り返す)|ツイッター出題回答 (2023-08-28)
シートを削除:不定数のシート名に対応|VBAサンプル集(2023-08-24)
ランクによりボイントを付ける(同順位はポイントを分割)|ツイッター出題回答 (2023-08-22)
OneDrive使用時のThisWorkbook.Pathの扱い方|VBA技術解説(2023-07-26)
列幅不足による###表示や指数表示を判定する|VBA技術解説(2023-07-12)
シートを削除:不定数のシート名に対応|VBAサンプル集(2023-07-04)
シート関数のCOUNTIFS,SUMIFS,MAXIFSと同じ処理|Power Query(M言語)入門(2023-02-28)
アクセスランキング ・・・ ランキング一覧を見る
1.最終行の取得(End,Rows.Count)|VBA入門
2.RangeとCellsの使い方|VBA入門
3.繰り返し処理(For Next)|VBA入門
4.変数宣言のDimとデータ型|VBA入門
5.セルのコピー&値の貼り付け(PasteSpecial)|VBA入門
6.マクロとは?VBAとは?VBAでできること|VBA入門
7.ブックを閉じる・保存(Close,Save,SaveAs)|VBA入門
8.並べ替え(Sort)|VBA入門
9.Range以外の指定方法(Cells,Rows,Columns)|VBA入門
10.条件分岐(IF)|VBA入門
- ホーム
- マクロVBA応用編
- マクロVBA技術解説
- RangeオブジェクトのFor EachとAreasについて
このサイトがお役に立ちましたら「シェア」「Bookmark」をお願いいたします。
記述には細心の注意をしたつもりですが、
間違いやご指摘がありましたら、「お問い合わせ」からお知らせいただけると幸いです。
掲載のVBAコードは動作を保証するものではなく、あくまでVBA学習のサンプルとして掲載しています。
掲載のVBAコードは自己責任でご使用ください。万一データ破損等の損害が発生しても責任は負いません。