VBA技術解説
Select Caseでの短絡評価(ショートサーキット)の使い方

ExcelマクロVBAの問題点と解決策、VBAの技術的解説
最終更新日:2021-01-03

Select Caseでの短絡評価(ショートサーキット)の使い方


VBAには、AndやOrの短絡評価(ショートサーキット)がありません。
プログラミング言語によりますが、
& , | これらに対しての && , || これらが短絡評価です。
VB.Netなら、AndAlso , OrElse これらが短絡評価になります。
しかしVBAにはこれらの短絡評価が存在しません。


しかし方法がないわけではありません。
Select CaseのCase節でのカンマ区切り(Or条件)は短絡評価(ショートサーキット)になります。


Select Caseの基本

Select Caseの基本については以下を参照してください。
第22回.条件分岐(Select Case)|VBA入門
前回のElseIf以外に、多肢条件分岐の別の書き方があります。それがSelectCaseになります。むしろElseIfより、このSelectCaseの方が、より多肢条件分岐に適していると言えます。SelectCaseは、多肢条件分岐に特化したステートメントになります。

Select Case True の使い方

ElseIfを使った場合

If 条件式1 Then
  '条件式1が真の処理
ElseIf 条件式2 Then
  '条件式2が真の処理
ElseIf 条件式3 Then
  '条件式3が真の処理
Else
  '全ての条件式が偽の処理
End If


Select Case True を使った場合
Select Case True
  Case 条件式1
    '条件式1が真の処理
  Case 条件式2
    '条件式2が真の処理
  Case 条件式3
    '条件式3が真の処理
  Case Else
    '全ての条件式が偽の処理
End Select


短絡評価(ショートサーキット)について

Andの短絡評価(ショートサーキット)について

A / B < 1 の場合に「処理1」を行う。
これをVBAで書く場合は以下のように書きます。

Sub If_sample1()
  Dim A, B
  A = 1
  B = 0
  If B <> 0 Then
    If A / B < 1 Then
      '処理1
    End If
  End If
End Sub

If B <> 0 And A / B < 1 Then
このように書きたいところですが、
B = 0の場合でも、A / Bが計算されてしまう為に、これではエラーが発生してしまいます。
つまり、
条件式1 And 条件式2
この場合、条件式1の結果にかかわらず、条件式2が評価されてしまいます。
条件式が偽(False)の場合は、条件式2は評価する必要がないのですが、Andでは必ず評価されてしまいます。

VB.Netなら、AndAlsoがあるので、
If B <> 0 AndAlso A / B < 1 Then
このように書くこくが出来ますが、VBAにはないのでIfをネストせざるを得なくなります。

Orの短絡評価(ショートサーキット)について

B = 0 または A / B < 1 の場合に「処理1」を行う。
これをVBAで書く場合は以下のように書きます。

Sub If_sample2()
  Dim A, B
  A = 1
  B = 0
  If B = 0 Then
    '処理1
  Else
    If A / B < 1 Then
      '処理1
    End If
  End If
End Sub

If B = 0 Or A / B < 1 Then
このように書きたいところですが、
B = 0の場合でも、A / Bが計算されてしまう為に、これではエラーが発生してしまいます。
つまり、
条件式1 Or 条件式2
この場合、条件式1の結果にかかわらず、条件式2が評価されてしまいます。
条件式が真(True)の場合は、条件式2は評価する必要がないのですが、Orでは必ず評価されてしまいます。

VB.Netなら、OrElseがあるので、
If B = 0 OrElse A / B < 1 Then
このように書くこくが出来ますが、VBAにはないのでIfをネストせざるを得なくなります。


Ifステートメントのネストの書き換え

A / B < 1 の場合に「処理1」を行う。

Sub If_sample1()
  Dim A, B
  A = 1
  B = 0
  If B <> 0 Then
    If A / B < 1 Then
      '処理1
    End If
  End If
End Sub

これを、Select Case Trueで書き直してみます。

Sub SelectCase_sample1()
  Dim A, B
  A = 1
  B = 0
  Select Case True
    Case B = 0
    Case A / B < 1
      '処理1
  End Select
End Sub

B = 0の場合は、Case節の中に入ります。
そして上記では何の処理もしていません。

Case節が処理された後は、Select Caseを抜けて、End Selectの下に制御が進みます。
つまり、A / B < 1の評価をする時点では、必ずB <> 0になっているのでエラーは発生しなくなります。


Select Case での短絡評価(ショートサーキット)

A = 0 または、A / B < 1 の場合に「処理1」を行う。

Sub If_sample2()
  Dim A, B
  A = 1
  B = 0
  If B = 0 Then
    '処理1
  Else
    If A / B < 1 Then
      '処理1
    End If
  End If
End Sub

これを、Select Case Trueで書き直してみます。

Sub SelectCase_sample2()
  Dim A, B
  A = 1
  B = 0
  Select Case True
    Case B = 0, A / B < 1
      '処理1
  End Select
End Sub

B = 0の場合は、Case節の中に入ります。
Case節では、カンマ区切り(Or条件)の左から順に評価していき、真(True)になった時点でCase節の中に入ります。

つまり、短絡評価(ショートサーキット)になっています。
したがって、A / B < 1の評価をする時点では、必ずB <> 0になっているのでエラーは発生しなくなります。


Select Case を使った短絡評価使用の是非

実務で使う場面はあまりないと思います。
使う場面がないというより、多くの人が知らない、またはあえて使っていないものと思われます。
当サイト内でも、ほとんど使っていません。
おそらく、以下がサイト内で使用している唯一の例かもしれません。
VBA100本ノック 53本目:テーブルの扱いと年齢計算
テーブルにある一定条件の人だけ年齢計算する問題です。ツイッター連動企画です。ツイートでの見やすさを考慮して、ブック・シート指定等を適宜省略しています。VBAテスト用のサンプルデータは、VBA100本ノックの目次ページからもダウンロードできます。

Select Caseの短絡評価を知らない人が見た時には戸惑ってしまうかもしれません。
これを考慮した場合は、あまり使わない方が良いという判断もあると思います。
しかし、これ以外に特に使わない方が良いという理由も見当たりませんので、これを気にする必要がないのであれば使える人は使っていけば良いと思います。




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