Select Caseでの短絡評価(ショートサーキット)の使い方
VBAには、AndやOrの短絡評価(ショートサーキット)がありません。
プログラミング言語によりますが、
& , | これらに対しての && , || これらが短絡評価です。
VB.Netなら、AndAlso , OrElse これらが短絡評価になります。
しかしVBAにはこれらの短絡評価が存在しません。
Select CaseのCase節でのカンマ区切り(Or条件)は短絡評価(ショートサーキット)になります。
Select Caseの基本
Select Case True の使い方
If 条件式1 Then
'条件式1が真の処理
ElseIf 条件式2 Then
'条件式2が真の処理
ElseIf 条件式3 Then
'条件式3が真の処理
Else
'全ての条件式が偽の処理
End If
Select Case True
Case 条件式1
'条件式1が真の処理
Case 条件式2
'条件式2が真の処理
Case 条件式3
'条件式3が真の処理
Case Else
'全ての条件式が偽の処理
End Select
短絡評価(ショートサーキット)について
Andの短絡評価(ショートサーキット)について
これをVBAで書く場合は以下のように書きます。
Sub If_sample1()
Dim A, B
A = 1
B = 0
If B <> 0 Then
If A / B < 1 Then
'処理1
End If
End If
End Sub
If B <> 0 And A / B < 1 Then
このように書きたいところですが、
B = 0の場合でも、A / Bが計算されてしまう為に、これではエラーが発生してしまいます。
つまり、
条件式1 And 条件式2
この場合、条件式1の結果にかかわらず、条件式2が評価されてしまいます。
条件式が偽(False)の場合は、条件式2は評価する必要がないのですが、Andでは必ず評価されてしまいます。
If B <> 0 AndAlso A / B < 1 Then
このように書くこくが出来ますが、VBAにはないのでIfをネストせざるを得なくなります。
Orの短絡評価(ショートサーキット)について
これをVBAで書く場合は以下のように書きます。
Sub If_sample2()
Dim A, B
A = 1
B = 0
If B = 0 Then
'処理1
Else
If A / B < 1 Then
'処理1
End If
End If
End Sub
If B = 0 Or A / B < 1 Then
このように書きたいところですが、
B = 0の場合でも、A / Bが計算されてしまう為に、これではエラーが発生してしまいます。
つまり、
条件式1 Or 条件式2
この場合、条件式1の結果にかかわらず、条件式2が評価されてしまいます。
条件式が真(True)の場合は、条件式2は評価する必要がないのですが、Orでは必ず評価されてしまいます。
If B = 0 OrElse A / B < 1 Then
このように書くこくが出来ますが、VBAにはないのでIfをネストせざるを得なくなります。
Ifステートメントのネストの書き換え
Sub If_sample1()
Dim A, B
A = 1
B = 0
If B <> 0 Then
If A / B < 1 Then
'処理1
End If
End If
End Sub
これを、Select Case Trueで書き直してみます。
Sub SelectCase_sample1()
Dim A, B
A = 1
B = 0
Select Case True
Case B = 0
Case A / B < 1
'処理1
End Select
End Sub
B = 0の場合は、Case節の中に入ります。
そして上記では何の処理もしていません。
つまり、A / B < 1の評価をする時点では、必ずB <> 0になっているのでエラーは発生しなくなります。
Select Case での短絡評価(ショートサーキット)
Sub If_sample2()
Dim A, B
A = 1
B = 0
If B = 0 Then
'処理1
Else
If A / B < 1 Then
'処理1
End If
End If
End Sub
これを、Select Case Trueで書き直してみます。
Sub SelectCase_sample2()
Dim A, B
A = 1
B = 0
Select Case True
Case B = 0, A / B < 1
'処理1
End Select
End Sub
B = 0の場合は、Case節の中に入ります。
Case節では、カンマ区切り(Or条件)の左から順に評価していき、真(True)になった時点でCase節の中に入ります。
したがって、A / B < 1の評価をする時点では、必ずB <> 0になっているのでエラーは発生しなくなります。
Select Case を使った短絡評価使用の是非
使う場面がないというより、多くの人が知らない、またはあえて使っていないものと思われます。
当サイト内でも、ほとんど使っていません。
おそらく、以下がサイト内で使用している唯一の例かもしれません。
これを考慮した場合は、あまり使わない方が良いという判断もあると思います。
しかし、これ以外に特に使わない方が良いという理由も見当たりませんので、これを気にする必要がないのであれば使える人は使っていけば良いと思います。
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