VBA技術解説
セル個数を返すRange.CountLargeプロパティとは

ExcelマクロVBAの問題点と解決策、VBAの技術的解説
最終更新日:2023-09-08

セル個数を返すRange.CountLargeプロパティとは


VBAにおいて最も良く使われるオブジェクトはRangeオブジェクトなのはいうまでもないですね。
このRangeオブジェクトには多数のプロバティが用意されています。

Rangeのプロパティ一覧
・Excel2010までのRangeオブジェクトのプロパティ一覧 ・Excel2016で追加されたRangeオブジェクトのプロパティ一覧 ・スピルにより追加されたRangeオブジェクトのプロパティ一覧
Rangeのメソッド一覧
・Excel2010までのRangeオブジェクトのメソッド一覧 ・Excel2013で追加されたRangeオブジェクトのメソッド一覧 ・Excel2016で追加されたRangeオブジェクトのメソッド一覧

Rangeオブジェクトに含まれるセルの個数を取得できるプロパティは2つあります。
Count
CountLarge


最初のCountは良く使うので皆さん知っている事でしょう。

最終行取得のコードでも使われていますね。
第18回.最終行の取得(End,Rows.Count)|VBA入門
・エクセルVBAにおける最終行取得の必要性 ・.End(xlDown):Ctrl+↓ ・.End(xlUp):Ctrl+↑ ・Endプロパティの方向(↑↓←→)について ・セルの行数を取得するRowプロパティ ・Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Rowを日本語に訳す ・EndプロパティがRangeオブジェクトを返す ・Endプロパティの問題点 ・最終行に関するサイト内のページ

では、もう一つの CountLargeとは何か・・・
CountとCountLargeを順に見ていくことにしましょう。



Countプロバティ

Office2003以前からあるプロパティです。

VBA マクロ CountLarge LongLong

データ型は、Longです。
Longなので値の範囲は、
-2,147,483,648 ~ 2,147,483,647

Excel2003までの.xls形式のシートの大きさは、
行数:65,536
列数:256
つまりシートの全セル数は16,777,216
Long型に入る数値範囲です。

VBA マクロ CountLarge LongLong


CountLargeプロバティ

Office2007以降に追加されたプロパティです。

VBA マクロ CountLarge LongLong

データ型は、Variantです。
Variantなので値の範囲は、、、VBAが扱える範囲なら何でも入ります。

Excel2007以降のxlsxやxlsmのシートの大きさは、
行数:1,048,576
列数:16,384
つまりシートの全セル数は17,179,869,184
Long型には入りきらない数値です。

VBA マクロ CountLarge LongLong

PropertyではVariantとなっていますが、実際のデータはLongLongですので、
Variant/LongLong
このようになっています。
※LongLongについては後述します。

上記のVBAでは、全セル数を取得しているので、
v = Cells.Count
これで実行すると、オーバーフローしてしまいます。

VBA マクロ CountLarge LongLong


実際にはシートの全セル数を取得しても仕方ないので、
普通は限られた範囲のRangeオブジェクトのセル数を取得することになると思います。
限られた範囲であれば、Countでも大抵の場合は問題ありません。
CountはLongなので21億まで入りますので、普通は問題ありません。
しかし、列全部のセル数となると列数が多くなってくるとオーバーフローしてしまいます。
具体的には、
1048576*2048=2,147,483,648
これでLongでは1オーバーしてしまう大きさとなります。


LongLong型について

LongLong型は64ビットのExcelでサポートされるデータ型です。
64ビット符号付き数値で、
-9223372036854775808 ~ 9223372036854775807
※64ビットプラットフォームのみで有効な宣言型です。
32ビットのExcelではサポートされないデータ型になりますので、32ビットでは、
VBA マクロ CountLarge LongLong

すると、ここでちょっと疑問がでてきます。
32ビットExcelでxlsxのシートの全セル数を取得したらどうなるのか・・・
※CountLargeプロパティは32ビットExcelでも存在します。

VBA マクロ CountLarge LongLong

変数vはVariantなので値は入りますが、VBA・VBEはデータ型を認識できません。
VBA マクロ CountLarge LongLong

32ビットではLongLongをデータ型として正式に扱えないというだけです。
Variantの1形式として扱う事は出来ますので、Variantに入れさえすれば計算に使ったり普通に扱うぶんには困る事はありません。

VBA マクロ CountLarge LongLong

Variantの1形式として扱うということでは、Decimalと同じくらいに扱えると考えれば良いかもしれません。
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LongPtrについて

WinAPIを扱う場合には必須となってくるのがLongPtrです。
LongPtrは、32 ビット環境と64 ビット環境で それぞれ以下に変換されます。
32ビットシステムでは、符号付き32ビット (4 バイト) の数値、つまりLong
64ビットシステムでは、符号付き64ビット (8 バイト) の数値、つまりLongLong

上記のセル数を取得するVBAでは、32ビットでもLongLongを扱いたかったので、このLongPtrの出る幕はありませんでした。




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