VBA入門
最終行の取得(End,Rows.Count)

ExcelマクロVBAの基本と応用、エクセルVBAの初級・初心者向け解説
公開日:2013年5月以前 最終更新日:2023-04-08

第18回.最終行の取得(End,Rows.Count)


Excelワークシートにおける表の最終行の取得は、マクロVBAの必須技術になります、



エクセルVBAにおける最終行取得の必要性

エクセルは表計算ソフトです、つまり縦横の表を扱います、
データは横に項目があり、縦に項目に対するデータが入っている事が一般的です。
しかし、
そのデータ行数は決まった行数ではない事が普通です。

データは増えたり減ったりするものです。
そして、
マクロVBAでは、表の全行に対して処理することが多くなります。
しかし、
表の全行に対して処理する為には、データの最終行が分からないと、
毎回、最終行の数値を変更しなければならなくなり、そんな面倒な事はしてられません。

では、最終行はどのように取得すればよいでしょうか。
以下の表で説明します。

マクロVBA 最終行

マクロVBAでは、A2~A11まで処理したいですよね。
そして、
この行数が増えても、VBAは変更すること無く使えるようにしたいです。
そこで、
データの入っている最後の行数を、VBAで自動的に取得したいということになります。


.End(xlDown):Ctrl+↓

そもそも手作業で、表データの一番下に移動する時はどのような操作をしていますか?

手操作で、A列の最終行に移動する場合は、
A1セルが選択されている状態で、
Ctrl + ↓
これで、A11に移動できます。

これをマクロVBAでは、
Cells(1, 1).End(xlDown)
このように書きます。

しかし、途中に空欄のセルがある場合、

マクロVBA 最終行

この場合は、Ctrl + ↓ではA6セルになってしまいます。
これは都合が悪いですね。


.End(xlUp):Ctrl+↑

表の途中に空欄が不特定に入っている場合は、
いったんシートの一番下(シートの最終行)のA列(A1048576)セルに移動してから、
Ctrl + ↑
とやれば、A11に移動できます。

これをマクロVBAでは、
Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp)
このように書きます。
Rows.Count
Rows.Countは、シートの行数になります。
2007以降なら1048576です、2003なら65536です。
Rowsとはシートの全行で、Countなのでその数ということです。

つまり、
シートのA列の最終行から、上に向かって、Ctrl+↑で移動している訳です。

このEndは、Rangeオブジェクトのプロパティで、Rangeオブジェクトを返します
※この表現はとても分かりづらいです、このページ最後の方で説明しています。


Endプロパティの方向(↑↓←→)について

Endプロパティの構文は、
End(Direction)


Directionに指定するものは、
xlUp : ↑上へ
xlDown : ↓下へ
xlToLeft : ←左へ
xlToRight : →右へ


セルの行数を取得するRowプロパティ

Endプロパティで取得したままの、
Cells(1, 1).End(xlDown)
これや
Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp)
これらは、最後のセル(行数ではなく、セルそのもの)を表しています。
つまり最後のセルのRangeオブジェクトになります。
つまりそのままでは行数ではなく、セルに入っている値(Value)が取得されてしまいます。

セルの行数(行位置)を取得するには、
Cells(1, 1).End(xlDown).Row

Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
このように、.Rowを指定します。
これで、データの最後の行数を取得できることになります。

この、.Rowは、Rangeオブジェクトのプロパティで、その行位置を返します。
上記例なら、11が返されます。
返されるとは、つまりは、
Cells(1, 1).End(xlDown).Row11と同じだと言う事です。

最終行を取得する場合は、
まずは
Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
または
Cells(1, 1).End(xlDown).Row
これは、定型文として丸暗記して下さい。


Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Rowを日本語に訳す

Cells(Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
セルA1048576からCtrl+のセルの行数

このVBAコードは長いので、一度書いたものをコピペで使うようにして良いですが、
最初の何回かはタイピングして覚えてください。
そうすることで、VBAになじむことができるようになります。
この一文には多くのプロパティを含んでいて、今後の学習に必ず役に立ってきます。


EndプロパティがRangeオブジェクトを返す

この言葉は非常に分かりづらいものとなっています。
今はまだ理解できなくても構いません。
詳しい説明は今後少しずつ説明しますので今回はさわりだけ説明しておきます。

プロパティは、オブジェクトの属性
このような説明をしてきました。

そのプロパティがオブジェクトを返す
ちょっと解りづらいと思います。

ただ、これを詳しく説明するには非常に多くの事を説明しなければなりません。
オブジェクト式について
・オブジェクト式の書き方 ・オブジェクトは直接指定できない ・オブジェクト式の書き始めは何か ・メソッドとプロパティの違いについて ・オブジェクト式の最後に

今は、プロパティには、値の設定・取得をするものと
オブジェクトを返すプロパティがあると言う事だけ知っておいて下さい。
EndはRangeオブジェクト返すプロパティであるということです。


Endプロパティの問題点

表の最下行が、非表示行またはフィルタで絞り込まれて非表示になっている場合
手動のCtrl+↑でも同じですが、可視セル(見えているセル)の最終行となってしまいます。

このような場合は、全行表示およびフィルタの絞り込みを解除してから最終行の取得をしてください。
そのような方法ができない場合は、下記ページの別の方法を使用してください。
最終行・最終列の取得方法(End,CurrentRegion,SpecialCells,UsedRange)
・最終行取得の基本:手動ではCtrl + ↑、VBAではCells(1, 1).End(xlDown) ・最終列の取得 ・特殊な表の場合 ・CurrentRegion ・SpecialCells(xlCellTypeLastCell) ・UsedRange ・Findメソッド ・サイト内関連ページ


最終行に関するサイト内のページ

最終行の取得は、マクロVBAにおいて基本かつ重要なものです。
他の解説ページも是非お読みください。

最終行・最終列の取得方法(End,CurrentRegion,SpecialCells,UsedRange)
・最終行取得の基本:手動ではCtrl + ↑、VBAではCells(1, 1).End(xlDown) ・最終列の取得 ・特殊な表の場合 ・CurrentRegion ・SpecialCells(xlCellTypeLastCell) ・UsedRange ・Findメソッド ・サイト内関連ページ
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