特殊フォルダの取得(WScript.Shell,SpecialFolders)
デスクトップのフォルダ、スタートメニューのフォルダ、個人用ドキュメントのフォルダなど、
Windows の特殊フォルダを取得するには、
ネイティブのWindowsシェルへのアクセスを提供するWScript.ShellのSpecialFoldersプロパティを使用します。
特殊フォルダを示す文字列を引数に指定して特殊フォルダを取得します。
WScript.Shell
CreateObject関数(ActiveXオブジェクトへの参照を作成して返す)を使います。
Dim wsh As Object
Set wsh = CreateObject("Wscript.Shell")
または、
「Windows Script Host Object Model」を参照設定して、
Dim wsh As New WshShell
WScript.Shellのプロパティ一覧
プロパティ | 説明 |
CurrentDirectory | 現在アクティブになっているディレクトリを取得または変更します。 |
Environment | WshEnvironment オブジェクト (環境変数のコレクション) を返します。 |
SpecialFolders | SpecialFolders オブジェクト (特殊フォルダのコレクション) を返します。 |
WScript.Shellのメソッド一覧
メソッド | 説明 |
AppActivate | アプリケーション ウィンドウをアクティブにします。 |
CreateShortcut | ショートカットまたは URL ショートカットへのオブジェクト参照を作成します。 |
Exec | 子コマンドシェルでアプリケーションを実行します。アプリケーションから StdIn/StdOut/StdErr ストリームにアクセスできます。 |
ExpandEnvironmentStrings | 環境変数を展開した値を返します。 |
LogEvent | イベント エントリをログ ファイルに追加します。 |
Popup | ポップアップ メッセージ ボックスにテキストを表示します。 |
RegDelete | レジストリから指定されたキーまたは値を削除します。 |
RegRead | レジストリ内のキー名または値名の値を返します。 |
RegWrite | 新しいキーの作成、新しい値名の既存キーへの追加 (および値の設定)、既存の値名の値変更などを行います。 |
Run | 新しいプロセス内でプログラムを実行します。 |
SendKeys | キーボードから入力したときのように、1 つ以上のキー ストロークをアクティブなウィンドウに送ります。 |
以下では、SpecialFolders プロパティ の解説をしています。
WshShell オブジェクトのプロパティとメソッド
こちらを参照してください。
SpecialFolders プロパティ
このオブジェクトには、
デスクトップのフォルダ、[スタート] メニューのフォルダ、個人用ドキュメントのフォルダなど、
Windowsの特殊フォルダ セット全体が格納されます。
要求したフォルダを使用できない場合は、NULL が返されます。
列挙値 | フォルダ文字列 | 説明 | 一般的Windows10の具体的なフォルダ |
0 | AllUsersDesktop | すべてのユーザーに共通のデスクトップ | C:\Users\Public\Desktop |
1 | AllUsersStartMenu | すべてのユーザーに共通のプログラムメニュー | C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu |
2 | AllUsersPrograms | すべてのユーザーに共通の全てのプログラム | C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs |
3 | AllUsersStartup | すべてのユーザーに共通のスタートアップ | C:\ProgramData\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\StartUp |
4 | Desktop | デスクトップ | C:\Users\[username]\Desktop |
5 | AppData | ログインユーザーのアプリ用データ | C:\Users\[username]\AppData\Roaming |
6 | PrintHood | プリンタフォルダ | C:\Users\[username]\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Printer Shortcuts |
7 | Templates | 新規作成のテンプレート | C:\Users\[username]\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Templates |
8 | Fonts | インストールされているフォント | C:\Windows\Fonts |
9 | NetHood | ネットワークに表示される共有フォルダの情報 | C:\Users\[username]\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Network Shortcuts |
10 | Desktop | デスクトップ | C:\Users\[username]\Desktop |
11 | StartMenu | スタートメニュー | C:\Users\[username]\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu |
12 | SendTo | 送るメニュー | C:\Users\[username]\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\SendTo |
13 | Recent | 最近使ったファイル | C:\Users\[username]\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Recent |
14 | Startup | ログインユーザーのスタートアップ | C:\Users\[username]\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs\Startup |
15 | Favorites | お気に入り | C:\Users\[username]\Favorites |
16 | MyDocuments | マイドキュメント | C:\Users\[username]\Documents |
17 | Programs | ログインユーザーのプログラムメニュー | C:\Users\[username]\AppData\Roaming\Microsoft\Windows\Start Menu\Programs |
WshShellのSpecialFoldersのマクロVBA使用例
Sub デスクトップの取得()
Dim wsh As Variant
Set wsh = CreateObject("Wscript.Shell")
MsgBox wsh.SpecialFolders("Desktop")
'MsgBox wsh.SpecialFolders(4)
Set wsh = Nothing
End Sub
"Desktop"と4のどちらで指定しても同じ結果を取得できます。
4の指定において"4"と指定してしまうと取得できません。
・すべてのユーザーに共通のデスクトップ
・送るメニュー
・マイドキュメント
これらを取得して、イミィディエイト ウインドウに表示しています。
Sub sample()
Debug.Print getSpecialFolder("Desktop")
Debug.Print getSpecialFolder("MyDocuments")
Debug.Print getSpecialFolder(4)
Debug.Print getSpecialFolder("16")
End Sub
Function getSpecialFolder(ByVal vFolder As Variant)
Dim wsh As Object
Set wsh = CreateObject("Wscript.Shell")
If IsNumeric(vFolder) Then
getSpecialFolder = wsh.SpecialFolders(CLng(vFolder))
Else
getSpecialFolder = wsh.SpecialFolders(CStr(vFolder))
End If
Set wsh = Nothing
End Function
数値列挙でも文字列でも、どちらでも取得できるようにしています。
CStr(vFolder)の部分は、& ""や()で代用することもできます。
Sub sample()
Dim sFolder As String
Debug.Print getSpecialFolder("Desktop")
Debug.Print getSpecialFolder("MyDocuments")
Debug.Print getSpecialFolder("SendTo")
End Sub
Function getSpecialFolder(ByVal strFolder As String)
Dim wsh As Variant
Set wsh = CreateObject("Wscript.Shell")
getSpecialFolder = wsh.SpecialFolders(strFolder & "")
'以下の書き方でも
' getSpecialFolder = wsh.SpecialFolders((strFolder))
' getSpecialFolder = wsh.SpecialFolders(CStr(strFolder))
Set wsh = Nothing
End Function
wsh.SpecialFolders(strFolder & "")
この部分については、引数を直接引き渡して、
wsh.SpecialFolders(strFolder)
このように記述すれば良さそうですが、
これではなぜか正しく取得できません。
理由についての詳細ははっきりしませんが、
MSDNを見ると、
object.SpecialFolders(objWshSpecialFolders)
このように書かれているので、
引数が単なる文字列としては扱われていないのではないかと推測されます。
そこで、
& ""
()
Cstr()
これらを使うことで、文字列として値の評価を行ってから引き渡すことで解決しています。
本来は、VBAでこれらの特殊フォルダは使わないほうが良いのですが、時には使うことで便利な場合もあります。
例えば、マクロの結果出力先として、「デスクトップ」を使うことは時々あります。
出力先をデスクトップにすることで、わかりやすく探さなくて済むという利点は確かにあるようです。
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