VBAでエラー行位置(行番号)を取得できるErl関数
VBAのデバッグでエラーが発生した行位置を特定する方法はいくつかあります。
エラーが発生したVBAソースの行ラベルを取得することができる関数がErl関数です。
しかし、VB6時代から隠し関数のような存在で、現在ではドキュメントを探すことも困難となっているものです。
そもそも関数と記していますが、VBAにおいて関数という呼び方でよいのかさえ判然としません。
したがって、ここでは詳細な仕様についてはお伝えすることはできませんが、
現状確認できて使える範囲において解説したいと思います。
Erl関数とは
エラー発生していない時は0を返します。
有効な行ラベルが無い場合は0を返します。
エラーが発生する度に新しい行番号に置き換えられます。
Erl関数の使用例
Option Explicit
Public ErrMsg As String
Sub Erl関数()
ErrMsg = ""
If Erl関数1 Then Exit Sub
MsgBox ErrMsg
End Sub
Function Erl関数1() As Boolean
On Error GoTo ErrLabel
Dim i As Long, j As Long
Do
Randomize
i = Rnd * 10
i = 10 / i
j = Rnd * 10
j = 10 / j
i = Rnd * 10: j = Rnd * 10
i = i / j
Loop
Erl関数1 = True
Exit Function
ErrLabel:
Erl関数1 = False
ErrMsg = Err.Description
End Function
これを実行すると、

しかし、その可能性のあるVBAソース行はいくつかあるようです。
実際に、どの行でエラー発生したかは分かりません。
メッセージにエラー発生した行が表示されていれば直ぐに修正対応が可能になり便利です。
以下では、Erl関数を利用して、このエラー発生行をメッセージ表示します。
Option Explicit
Public ErrMsg As String
Sub Erl関数()
ErrMsg = ""
If Erl関数2 Then Exit Sub
MsgBox ErrMsg
End Sub
Function Erl関数2() As Boolean
On Error GoTo ErrLabel
Dim i As Long, j As Long
Do
Randomize
i = Rnd * 10
110 i = 10 / i
j = Rnd * 10
120
j = 10 / j
i = Rnd * 10: j = Rnd * 10
130:
i = i / j
Loop
Erl関数2 = True
Exit Function
ErrLabel:
Erl関数2 = False
ErrMsg = Err.Description & vbLf & _
"Erl関数2:" & Erl
End Function
これを実行すると、

エラー行は、ランダム数を使っているので、110,120,130と3通りで表示されます。
当然、全ての行に入れても良いですが、別途ツールでも使わないと大変でしょう。
行ラベルの書き方として、上記では3通り別々の書き方をしています。
110が最も普通の書き方ではありますが、
後から追加することを考えると、120、130:の方が入れやすいかもしれません。
120と130:は特に違いはありませんが、130:はラベルと見た目でわかりやすいかもしれないという程度です。
複数プロシージャーでのエラー発生をログ出力するような場合には、エラー行が特定されているのはとても有効になります。
Erl関数自体は、単純にエラー時の最終行を取得するだけですので、後は使い方次第でしょう。
Erl関数の最後に
本来は、エラー行の特定はデバッグ時に全て完了しておくものであることは言うまでもないでしょう。
デバッグ時には、
On Errorを外して実行
ステップで実行
オプションのエラートラップの変更
等々でエラー行は特定できます。
そのような時に、いち早く原因特定する手段の一つとして、
Erl関数を組み込んでおくという選択肢もあるのではないかと思い、今回紹介してみました。
正式なドキュメントも見当たらない関数ですので、使用するには若干ためらわれる部分もありますが、
使い方によっては、非常に便利なものだと思いますので、覚えておいて損はないでしょう。
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