SQL入門
「ADO + VBA」でSQLを実行するときのVBAサンプル

SQLの初心者向け入門解説、VBAからデータベースを扱うためのSQLを解説
公開日:2025-10-28 最終更新日:2025-11-03

「ADO + VBA」でSQLを実行するときのVBAサンプル


ExcelからVBA(ADO)を使ってRDBMS(またはデータベース)にSQLコマンドを送って結果を受け取る為のVBAサンプルです。
SQL問題の作成に当たって、より簡単にSQLを実行するための方法として、「ユーザー定義関数」を作成しました。



ADOとユーザー定義関数について

ADO(ActiveX Data Objects)の使い方の要点|VBA技術解説
・データベースの種類 ・SQL(SQL:Structured Query Language) ・ADOを使う準備 ・ADOでのDB接続方法 ・ADODB.Recordsetの取得方法 ・ADODBのレコードセットの扱い方 ・ADODBのトランザクション処理 ・ADODB.Commandの使い方 ・VBA100本ノックでの実践例 ・最後に注意点等
VBAでのSQLの基礎(SQL:Structured Query Language)|VBA技術解説
・SQL文 ・SELECT文 ・SQLの学習について ・実践例
ユーザー定義関数の作り方|VBA解説
・簡単な例でユーザー定義関数を作ってみましょう ・この関数の使い方 ・ユーザー定義関数の実践使用例


ADO + Excel

Function QUERY(ByVal sSql As String, Optional ByVal NotFound As String, Optional ByVal Header As Boolean)
  On Error Resume Next
  Application.Volatile
  With CreateObject("ADODB.Connection")
    .Provider = "Microsoft.ACE.OLEDB.12.0"
    .Properties("Extended Properties") = "Excel 12.0;HDR=YES"
    .Open ThisWorkbook.Path & "\" & ThisWorkbook.Name
    QUERY = TransposeArray(.Execute(CleanSql(sSql)), Header)
    .Close
  End With
  Select Case Err.Number
    Case 0: Exit Function
    Case 3021: QUERY = IIf(IsMissing(NotFound), Err.Description, NotFound)
    Case Else: QUERY = Err.Description
  End Select
End Function

Private Function TransposeArray(ByVal rs As ADODB.Recordset, ByVal Header As Boolean) As Variant
  Dim vIn As Variant: vIn = rs.GetRows
  Dim iHead As Long: iHead = Abs(Header)
  If Not IsArray(vIn) Then: TransposeArray = vIn: Exit Function
  Dim r, c, rMax, cMax
  rMax = UBound(vIn, 1) - LBound(vIn, 1) + 1
  cMax = UBound(vIn, 2) - LBound(vIn, 2) + 1
  ReDim vOut(1 To cMax + iHead, 1 To rMax)
  If iHead > 0 Then
    For r = 1 To rs.Fields.Count
      vOut(1, r) = rs.Fields(r - 1).Name
    Next
  End If
  For r = 1 To UBound(vOut, 2)
    For c = 1 To UBound(vOut, 1) - iHead
      If IsNull(vIn(r - 1, c - 1)) Then
        vOut(c + iHead, r) = ""
      Else
        vOut(c + iHead, r) = vIn(r - 1, c - 1)
      End If
    Next
  Next
  TransposeArray = vOut
End Function

Function CleanSql(ByVal sSql As String) As String
  If InStr(sSql, "--") = 0 Then CleanSql = sSql: Exit Function
  Dim ary As Variant, i As Long, j As Long
  ary = Split(sSql, vbLf)
  For i = LBound(ary) To UBound(ary)
    j = InStr(ary(i), "--")
    If j > 0 Then ary(i) = Left(ary(i), j - 1)
  Next
  CleanSql = Join(ary, vbLf)
End Function

【概要】
この QUERY 関数は、ExcelのシートをデータベースのようにSQLで検索する関数です。
ADOでブックを開き、SELECT結果を整形して返します。
=QUERY("SELECT * FROM [Sheet1$] WHERE 数量>100")
このように使います。
テーブルとして扱う範囲の指定は、
[シート名$セル範囲アドレス]

引数
引数名 説明
sSql String 必須。
実行したい SQLクエリ文字列。
例: "SELECT A, B FROM [Sheet1$] WHERE C > 10"
NotFound Optional String オプション。
レコードが見つからなかった(エラーコード 3021)場合の代替値。
指定がなければエラーメッセージが出力されます。
Header Optional Boolean オプション。
結果にフィールド名(ヘッダー行)を含めるかどうか(Trueで含める)。
省略時は False。

Application.Volatile
このステートメントは、そのユーザー定義関数を揮発性 (Volatile) 関数にします。
揮発性 (Volatile) とは?
  • 非揮発性の関数(通常): セルの値が変更されたなど、関数が参照しているセルや関連する計算に変更があったときにのみ再計算されます。ほとんどの組み込み関数(例: SUM, VLOOKUP)は非揮発性です。
  • 揮発性の関数(Application.Volatile を使用): 関数が参照しているセルに関係なく、Excelのワークシートが再計算されるたびに(またはワークシート上のデータが変更されるたびに)強制的に再計算されます。組み込み関数では、RAND(), NOW(), TODAY() などが揮発性関数です。

【動きの流れ】
  1. ADO接続を作成
     Microsoft.ACE.OLEDB.12.0 を使って、現在のブックをデータベースとして開く。
  2. SQL文を実行
     .Execute(sSql) で結果を取得し、配列として受け取る。
  3. 行列を入れ替え(TransposeArray)
     ADOの結果は「列×行」順なので、Excelに出すため「行×列」に変換。
  4. エラー処理
     通常:結果を返す
     データなし(3021):NotFound で指定値、またはエラー文
     その他:エラー内容を返す

【TransposeArray の役割】
TransposeArrayは、WorksheetFunction.Transpose の制限(約65,000件まで)を回避し、さらに Null を空文字に置き換える ための自作関数です。
VBAでシート関数使用時の配列要素数制限|VBA技術解説
・FILTER関数 ・SORT関数、SORTBY関数 ・UNIQUE関数 ・XLOOKUP関数、HLOOKUP関数、VLOOKUP関数 ・XMATCH関数、MATCH関数 ・TRANSPOSE関数 ・VBAでシート関数使用時の配列要素数制限まとめ
ADOの .GetRows
  • 「列×行」順の配列を返します。
  • Null をそのまま含む
そのため、そのままではシートに展開できのません。
TransposeArrayは、これを
  • 「行×列」順に入れ替え
  • Null → "" に変換
することで、Excel関数で安全に扱える形に整えます。

【CleanSql の役割】
ADO+VBAでは、改行処理の問題でコメントを入れるとエラーになってしまいます。
そこで、SQL文の末尾にある--コメントを除去します。
  1. 引数 sSql として、コメントが含まれている可能性のあるSQL文字列を受け取ります。
  2. SQL文字列全体に--が含まれていないかを確認します。含まれていなければ、そのまま元のSQLを返して終了します。
  3. SQL文字列を改行コード(vbLf)で分割し、行の配列(ary)を作成します。
  4. 各行に対してループ処理を行い、-- が含まれているかをチェックします。
    -- が見つかった場合、その位置(j)から左側(手前)の部分のみを新しい行の内容として採用します。
  5. コメントを除去したすべての行を、再び改行コード(vbLf)で結合し、クリーンになったSQL文字列を関数(CleanSql)の戻り値として返します。

※「/* … */」のコメントは、改行が影響しないので、この関数なしでも使えます。

【ポイント】
  • ExcelのSQL実行機能(SELECT専用)
  • A1セルからの表を「テーブル」として扱える
  • 結果はそのままワークシートに展開できる


ADO + SQLite3

SQLiteの接続には、VBAのクラスを使用します。
使用するExcelのVBEで以下のクラスモジュールを追加してください。
VBAクラスの全コード:トランザクション処理
SQL入門の「トランザクション処理」時点のVBAクラスの全コードです。ADOを使ったDB接続のVBAクラスの全コード クラスモジュール:clsSQLite SQLの初心者向け入門解説、VBAからデータベースを扱うためのSQLを解説。

Function QUERY3(ByVal sSql As String, Optional ByVal NotFound As String, Optional ByVal Header As Boolean)
  On Error Resume Next
  Dim clsDB As New clsSQLite
  clsDB.DataBase = "C:\SQLite3\sample.db"
  
  Dim rs As New ADODB.Recordset
  If clsDB.ExecuteRecordset(CleanSql(sSql), rs) Then
    QUERY3 = TransposeArray(rs, Header)
    If Err Then
      QUERY3 = IIf(IsMissing(NotFound), clsDB.ErrMsg, NotFound)
    End If
  Else
    QUERY3 = clsDB.ErrNum & ":" & clsDB.ErrMsg
  End If
  
  Set clsDB = Nothing
End Function

Private Function TransposeArray(ByVal rs As ADODB.Recordset, ByVal Header As Boolean) As Variant
  Dim vIn As Variant: vIn = rs.GetRows
  Dim iHead As Long: iHead = Abs(Header)
  If Not IsArray(vIn) Then: TransposeArray = vIn: Exit Function
  Dim r, c, rMax, cMax
  rMax = UBound(vIn, 1) - LBound(vIn, 1) + 1
  cMax = UBound(vIn, 2) - LBound(vIn, 2) + 1
  ReDim vOut(1 To cMax + iHead, 1 To rMax)
  If iHead > 0 Then
    For r = 1 To rs.Fields.Count
      vOut(1, r) = rs.Fields(r - 1).Name
    Next
  End If
  For r = 1 To UBound(vOut, 2)
    For c = 1 To UBound(vOut, 1) - iHead
      If IsNull(vIn(r - 1, c - 1)) Then
        vOut(c + iHead, r) = ""
      Else
        vOut(c + iHead, r) = vIn(r - 1, c - 1)
      End If
    Next
  Next
  TransposeArray = vOut
End Function

Sub SelectSQLite3()
  Dim clsDB As New clsSQLite
  clsDB.DataBase = "C:\SQLite3\sample.db"
  
  Dim ws As Worksheet
  Set ws = ActiveSheet
 
  Dim sSql As String
  sSql = ""
  sSql = sSql & " SELECT"
'  sSql = sSql & " SUBSTR(ID, 1, LENGTH(ID) - LENGTH(SUBSTR(ID, INSTR(SUBSTR(ID, INSTR(ID, '-') + 1), '-') + INSTR(ID, '-')))) AS prefix,"
  sSql = sSql & " SUBSTR(ID, 1, INSTR(SUBSTR(ID, INSTR(ID, '-') + 1), '-') + INSTR(ID, '-') - 1) AS prefix,"
  sSql = sSql & " COUNT(*) AS Count"
  sSql = sSql & " FROM TBL1"
  sSql = sSql & " GROUP BY prefix"
  sSql = sSql & " ORDER BY prefix;"
 
  If Not clsDB.SheetFromRecordset(sSql, ws.Range("A2"), enmClear.Clear) Then
    MsgBox clsDB.ErrMsg
    Exit Sub
  End If
 
  Set clsDB = Nothing
End Sub

Function CleanSql(ByVal sSql As String) As String
  If InStr(sSql, "--") = 0 Then CleanSql = sSql: Exit Function
  Dim ary As Variant, i As Long, j As Long
  ary = Split(sSql, vbLf)
  For i = LBound(ary) To UBound(ary)
    j = InStr(ary(i), "--")
    If j > 0 Then ary(i) = Left(ary(i), j - 1)
  Next
  CleanSql = Join(ary, vbLf)
End Function

全体の概要
QUERY3 は、SQLite データベースに対して SQL を実行し、結果を Excel シート上で使える形に返す関数です。
  • データ取得には clsSQLite クラス(外部クラス) を使用
  • 結果は 2次元配列として返す
  • エラー時は内容を文字列で返す


引数
引数名 説明
sSql String 必須。
実行したい SQLクエリ文字列。
例: "SELECT A, B FROM [Sheet1$] WHERE C > 10"
NotFound Optional String オプション。
レコードが見つからなかった(エラーコード 3021)場合の代替値。
指定がなければエラーメッセージが出力されます。
Header Optional Boolean オプション。
結果にフィールド名(ヘッダー行)を含めるかどうか(Trueで含める)。
省略時は False。

処理の流れ
① エラーを無視して続行
On Error Resume Next
→ 途中でエラーが出ても止まらず、あとで Err をチェック。

② SQLiteクラスの準備
Dim clsDB As New clsSQLite
clsDB.DataBase = "C:\SQLite3\sample.db"

clsSQLite は、SQLiteと通信する自作クラス(別途定義が必要)
.DataBase に、接続するDBファイルを指定

③ SQL実行結果を格納するRecordsetを用意
Dim rs As New ADODB.Recordset
→ SQL結果を表形式で受け取るためのオブジェクト。

④ SQLを実行して結果を取得
If clsDB.ExecuteRecordset(sSql, rs) Then
clsDB.ExecuteRecordset は SQL文を実行し、結果を rs に格納
戻り値が True の場合=成功

⑤ 結果を配列に変換
QUERY3 = TransposeArray(rs.GetRows)
rs.GetRows:結果を2次元配列に変換(列×行の順)
TransposeArray:これを行×列に直す(Excelで扱いやすくする)

⑥ エラー時の処理
If Err Then
  QUERY3 = IIf(IsMissing(NotFound), clsDB.ErrMsg, NotFound)
End If

Err が残っていたらエラー発生
NotFound が指定されていればその値を返す
なければ clsDB.ErrMsg(クラスのエラーメッセージ)を返す

⑦ 実行失敗時
Else
  QUERY3 = clsDB.ErrNum & ":" & clsDB.ErrMsg
End If

→ SQL実行に失敗した場合は、エラー番号と内容を返す。

⑧ クリーンアップ
Set clsDB = Nothing
→ オブジェクトを解放して終了。

「TransposeArray」 「CleanSql」の役割
「ADO + Excel」と同一です。




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