エクセル入門
TRIMRANGE関数(セル範囲をトリム:端の空白セルを除外)

Excelの初心者向け入門解説
公開日:2024-08-30 最終更新日:2024-08-30

TRIMRANGE関数(セル範囲をトリム:端の空白セルを除外)


TRIMRANGE関数は、範囲または配列の外側の端から空の行や空の列を除外します。


列全体や行全体に対する数式では、不必要な(データのない)セルも含めて計算してしまうため、非常に効率が悪く余分な処理時間がかかってしまいます。
TRIMRANGE関数を挟んで必要な範囲・配列だけにすることで、計算効率・パフォーマンスが大幅に向上します。

2024/8時点でこの関数は、365 Insider の新関数です。
その為、機能も未確定であり今後変更の可能性もあります。


TRIMRANGE関数の構文

=TRIMRANGE(範囲 , [トリム行] , [トリム列])

引数 説明
範囲 トリミングする範囲(または配列)
必須
行のトリム 行に対するトリム方法を指定します。
0 : なし
1 : 先頭の空白行をトリムします
2 : 末尾の空白行をトリムします
3 : 先頭と末尾の両方の空白行をトリムします (規定)
省略時は 3です。
列のトリム 列に対するトリム方法を指定します。
0 : なし
1 : 先頭の空白列をトリムします
2 : 末尾の空白列をトリムします
3 : 先頭と末尾の両方の空白列をトリムします (規定)
省略時は 3です。

TRIMRANGE 関数は、範囲または配列の端(行なら上下、列なら左右)からスキャンして、空白でないセルを見つけ、そこまでの空白だけの行または列を除外します。


TRIMRANGE関数の糖衣構文(簡略記法)

TRIMRANGE関数の糖衣構文(簡略記法)として、
セル範囲の参照演算子 :(コロン)の前後に .(ピリオド)を記述することでトリム方法を指定することができます。

参照演算子 :(コロン)の直前に.(ピリオド)を記述することで、 先頭の空白行と先頭の空白列をトリムします。
参照演算子 :(コロン)の直後に.(ピリオド)を記述することで、 末尾の空白行と末尾の空白列をトリムします。
参照演算子 :(コロン)の直前と直後に.(ピリオド)を記述することで、 先頭と末尾の空白行と先頭と末尾の空白列をトリムします。

A1.:E10 → TRIMRANGE(A1:E10,1,1) と同じ、先頭の空白行と先頭の空白列をトリム
A1:.E10 → TRIMRANGE(A1:E10,2,2) と同じ、末尾の空白行と末尾の空白列をトリム
A1.:.E10 → TRIMRANGE(A1:E10,3,3) と同じ、先頭と末尾の空白行と先頭と末尾の空白列をトリム

行と列のトリム方法は同一の指定しかできません。
(行と列で別々のトリム方法は指定できません)
実務の多くの場面では、末尾だけトリム(:.)、または、先頭と末尾をトリム(.:.)、このどちらかで事足りるものと思われます。


TRIMRANGE関数の使用例と解説

1列全体をトリム

エクセル Excel 新関数 TRIMRANGE

先頭と末尾の空白行をトリムしています。
以下の3通りの記述は同じ結果になります。
=TRIMRANGE(B:B)
=TRIMRANGE(B:B,3) ← 1列だけなので、列のトリムは省略しています。
=B.:.B
空白セルは「0」として出力されていますが、これは、
=A1
としたときに、A1セルが空白の場合に「0」と表示されるのと同じことです。
セルへの出力結果は「0」と表示されていても、TRIMRANGE関数の結果値そのものは空白セルが返ってきています。

エクセル Excel 新関数 TRIMRANGE

=COUNTA(TRIMRANGE(B:B))
F列では空白セルが「0」と表示されていますが、COUNTA関数の結果には含まれていないことを確認してください。
つまり、TRIMRANGE関数の結果自体は空白セルのままだということを理解してください。


エクセル Excel 新関数 TRIMRANGE

末尾の空白行をトリムしています。
以下の2通りの記述は同じ結果になります。
=TRIMRANGE(B:B,2) ← 1列だけなので、列のトリムは省略しています。
=B:.B


複数列をトリム

エクセル Excel 新関数 TRIMRANGE

先頭と末尾の空白行と先頭と末尾の空白列をトリムしています。
以下の3通りの記述は同じ結果になります。
=TRIMRANGE(A:D)
=TRIMRANGE(A:D,3,3)
=A.:.D


2列の姓と名を結合する

エクセル Excel 新関数 TRIMRANGE

先頭と末尾の空白行と先頭と末尾の空白列をトリムしています。
以下の3通りの記述は同じ結果になります。
=TRIMRANGE(A:A)&" "&TRIMRANGE(B:B)
=A.:.A&" "&B.:.B
=LET(in,A.:.B,CHOOSECOLS(in,1)&" "&CHOOSECOLS(in,2))

TRIMRANGE関数を使わずに、単純にA列とB列を結合すると、
シートの一番下の1,048,576行まで演算が行われてしまいます。

エクセル Excel 新関数 TRIMRANGE

この文字列結合くらいなら大した処理時間はかかりませんが、1,048,576行の計算では、数式によっては多大な時間を要する場合もあります。
TRIMRANGE関数が使える環境であれば、列全体の演算の場合は極力TRIMRANGE関数を使うようにしてください。




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