VBA練習問題
VBA100本ノック 39本目:数値リストの統合(マージ)

VBAを100本の練習問題で鍛えます
公開日:2020-12-04 最終更新日:2021-02-22

VBA100本ノック 39本目:数値リストの統合(マージ)


A列とB列の数値を統合(マージ)しユニーク化してC列に出力する問題です。
ツイッターで貰った質問から急遽追加した問題です。


ツイッター連動企画です。
ツイートでの見やすさを考慮して、ブック・シート指定等を適宜省略しています。

VBAテスト用のサンプルデータは、VBA100本ノックの目次ページ からもダウンロードできます。
マクロVBAを初心者向けの基本から上級者向けの高度な内容までサンプルコードを掲載し解説しています。エクセル関数・機能・基本操作の入門解説からマクロVBAまでエクセル全般を網羅しています。


出題

出題ツイートへのリンク

#VBA100本ノック 39本目
A列とB列の数値を統合(マージ)しユニーク化してC列に出力します。
・A列、B列ともに行数は不定
・列内では数値は昇順になっています。
・列内では重複していないが、A列とB列では重複します。
・C列へは重複しない数値として昇順に出力してください。
※画像を参考に。

マクロ VBA 100本ノック

マクロ VBA 100本ノック


サンプルファイルです。
https://excel-ubara.com/vba100sample/VBA100_39.xlsm
https://excel-ubara.com/vba100sample/VBA100_39.zip


VBA作成タイム

この下に頂いた回答へのリンクと解説を掲載しています。
途中まででも良いので、できるだけ自分でVBAを書いてみましょう。


他の人の回答および解説を見て、書いたVBAを見直してみましょう。


頂いた回答

解説

今回は前日に学生と思われる方からの質問があり、その問題を少し難しくした問題にしました。
おそらくアルゴリズムの勉強なのだと思います。
したがって、解答もそれを意識したコードにしています。
2組のソートされた配列をマージするには左右を比較しながら順に取り出せば良いです。

Sub VBA100_39_01()
  Dim ws As Worksheet
  Set ws = ActiveSheet
  
  Dim i1 As Long, i2 As Long, r As Long
  i1 = 1: i2 = 1: r = 1
  With ws
    .Columns(3).ClearContents
    Do Until .Cells(i1, 1) = "" And .Cells(i2, 2) = ""
      Select Case True
        Case .Cells(i1, 1) = ""
          .Cells(r, 3) = .Cells(i2, 2)
          i2 = i2 + 1
        Case .Cells(i2, 2) = ""
          .Cells(r, 3) = .Cells(i1, 1)
          i1 = i1 + 1
        Case .Cells(i1, 1) < .Cells(i2, 2)
          .Cells(r, 3) = .Cells(i1, 1)
          i1 = i1 + 1
        Case .Cells(i1, 1) > .Cells(i2, 2)
          .Cells(r, 3) = .Cells(i2, 2)
          i2 = i2 + 1
        Case .Cells(i1, 1) = .Cells(i2, 2)
          .Cells(r, 3) = .Cells(i1, 1)
          i1 = i1 + 1
          i2 = i2 + 1
      End Select
      r = r + 1
    Loop
  End With
End Sub


上記は丁寧に場合分けしたものになります。
昇順に並んでいる+マージというキーワードからマージソートを思い浮かべた人もいるかもしれません。
注意点は片方が終わった時の処理になります。
大小比較ができなくなるので何らかの記述が必要になります。

Sub VBA100_39_02()
  Dim ws As Worksheet
  Set ws = ActiveSheet
  
  Dim i1 As Long, i2 As Long, r As Long
  i1 = 1: i2 = 1: r = 1
  With ws
    .Columns(3).ClearContents
    Do Until .Cells(i1, 1) = "" Or .Cells(i2, 2) = ""
      Select Case True
        Case .Cells(i1, 1) < .Cells(i2, 2)
          .Cells(r, 3) = .Cells(i1, 1)
          i1 = i1 + 1
        Case .Cells(i1, 1) > .Cells(i2, 2)
          .Cells(r, 3) = .Cells(i2, 2)
          i2 = i2 + 1
        Case .Cells(i1, 1) = .Cells(i2, 2)
          .Cells(r, 3) = .Cells(i1, 1)
          i1 = i1 + 1
          i2 = i2 + 1
      End Select
      r = r + 1
    Loop
    Do Until .Cells(i1, 1) = ""
      .Cells(r, 3) = .Cells(i1, 1)
      i1 = i1 + 1
      r = r + 1
    Loop
    Do Until .Cells(i2, 2) = ""
      .Cells(r, 3) = .Cells(i2, 2)
      i2 = i2 + 1
      r = r + 1
    Loop
  End With
End Sub


上記では残りは片方なのでそれを最後に出力しています。
片方が終わった時の処理方法はいろいろ考えられます。
最大値を使いループを停止させる方法もあります。
これについては記事補足に参考VBAを掲載しました。
オマケとしてSortedListも紹介しておきました。


補足

今回は、学生の問題から急遽追加した問題なので、これに沿った解答にしました。
恐らくアルゴリズムの学習なのだと思います。

小さい方を取得する方法として、MIN関数を使った簡潔なコードの解答あります。
以下の回答は、MIN関数を使ったとても簡潔なコードになっています。
https://twitter.com/prg_yy/status/1335012260142407681

全く別の方法として、
エクセルVBAならではのいろいろな方法もありますが、私の方ではサンプルVBAは書きませんでした。
・シートのMIN[IFS]関数やSMALL関数を使う方法
・2列を縦に並べて重複削除+並べ替え
これらはエクセルならではの処理としてとても良いと思います。
この方法での回答は複数寄せられているので、引用リツイートを見て参考にしてください。

その他として、特殊な方法になりますが、
.NET FrameworkのSortedListクラスを利用したVBAを掲載しておきます。


最大値+1を比較の終了値として使用する
Sub VBA100_39_03()
  Dim ws As Worksheet
  Set ws = ActiveSheet
  
  Dim stopValue As Long
  stopValue = WorksheetFunction.Max(ws.Range("A:B")) + 1
  
  Dim i1 As Long, i2 As Long, r As Long
  i1 = 1: i2 = 1: r = 1
  With ws
    .Columns(3).ClearContents
    Do Until .Cells(i1, 1) = "" And .Cells(i2, 2) = ""
      Select Case True
        Case BlankValue(.Cells(i1, 1), stopValue) < BlankValue(.Cells(i2, 2), stopValue)
          .Cells(r, 3) = .Cells(i1, 1)
          i1 = i1 + 1
        Case BlankValue(.Cells(i1, 1), stopValue) > BlankValue(.Cells(i2, 2), stopValue)
          .Cells(r, 3) = .Cells(i2, 2)
          i2 = i2 + 1
        Case Else '.Cells(i1, 1) = .Cells(i2, 2)
          .Cells(r, 3) = .Cells(i1, 1)
          i1 = i1 + 1
          i2 = i2 + 1
      End Select
      r = r + 1
    Loop
  End With
End Sub

Function BlankValue(ByVal rng As Range, ByVal stopValue As Long)
  BlankValue = IIf(rng.Value = "", stopValue, rng.Value)
End Function

記述を簡略化するためにFunctionにしましたが、
= "" となったら最大値+1を仮定して比較すれば相手の方の残りが全て出力されます。
これは方法としてはあるのですが、毎回変換関数が呼ばれるので、少々効率が悪いように思います。

最大値の取得が難しいような場合は、想定しうる最大数値を超える値を入れておくことで対応すれば良いでしょう。
VBAには無限大またはデータ型が取りうる最大値を表す定数は存在しません。
ただし、セルで正しく扱える整数は15桁しかないので、これを超える値を扱う事は極めてまれになると思います。


配列の最後に終了値として最大値+1を入れる
Sub VBA100_39_04()
  Dim ws As Worksheet
  Set ws = ActiveSheet
  
  Dim stopValue As Long
  stopValue = WorksheetFunction.Max(ws.Range("A:B")) + 1
  
  Dim aryA, aryB, aryC
  'A列を配列に、最後に最大値+1を入れる
  aryA = Range2Array(ws.Range("A1"), stopValue)
  'B列を配列に、最後に最大値+1を入れる
  aryB = Range2Array(ws.Range("B1"), stopValue)
  '出力配列をA列件数+B列件数で作成
  ReDim aryC(1 To UBound(aryA, 1) + UBound(aryB, 1), 1 To 1)
  
  Dim i1 As Long, i2 As Long, r As Long
  i1 = 1: i2 = 1: r = 1
  Do Until aryA(i1, 1) = stopValue And aryB(i2, 1) = stopValue
    Select Case True
      Case aryA(i1, 1) < aryB(i2, 1)
        aryC(r, 1) = aryA(i1, 1)
        i1 = i1 + 1
      Case aryA(i1, 1) > aryB(i2, 1)
        aryC(r, 1) = aryB(i2, 1)
        i2 = i2 + 1
      Case Else 'aryA(i1, 1) = aryB(i2, 1)
        aryC(r, 1) = aryA(i1, 1)
        i1 = i1 + 1
        i2 = i2 + 1
    End Select
    r = r + 1
  Loop
    
  ws.Columns(3).ClearContents
  ws.Range("C1").Resize(UBound(aryC)) = aryC
End Sub

Function Range2Array(ByVal aRng As Range, ByVal stopValue As Long) As Variant
  Dim ary
  ary = aRng.Resize(aRng.End(xlDown).Row + 1).Value
  ary(UBound(ary, 1), 1) = stopValue
  Range2Array = ary
End Function

配列の最後に最大値+1を入れておくことで、残らず全てを出力できるようにしています。


.NET FrameworkのSortedListクラスを利用
Sub VBA100_39_05()
  Dim ws As Worksheet
  Set ws = ActiveSheet
  
  Dim SortList As Object
  Set SortList = CreateObject("System.Collections.SortedList")
  Call setSortList(SortList, ws.Range("A1", ws.Range("A1").End(xlDown)).Value)
  Call setSortList(SortList, ws.Range("B1", ws.Range("B1").End(xlDown)).Value)
  
  Dim ary(), i As Long
  ReDim ary(1 To SortList.Count, 1 To 1)
  For i = 0 To SortList.Count - 1
    ary(i + 1, 1) = SortList.GetKey(i)
  Next
  
  ws.Columns(3).ClearContents
  ws.Range("C1").Resize(UBound(ary)) = ary
End Sub

Sub setSortList(ByRef SortList As Object, ByRef aAry)
  Dim v As Variant
  For Each v In aAry
    If SortList.Contains(v) = False Then
      SortList.Add v, v
    End If
  Next
End Sub

これについては、あくまで参考としての紹介になります。
.NET Frameworkなので、むやみやたらに使うものではないと思います。


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第82回.RangeのResizeプロパティ
・Resizeプロパティの構文 ・Resizeの使用例 ・Resizeのまとめ
第83回.RangeのOffsetプロパティ
・Offsetプロパティの構文 ・Offsetの使用例 ・Offsetの注意点 ・Offsetのまとめ
第112回.動的配列(ReDim)
・ReDimステートメント ・要素数の変更について ・配列について
第114回.セル範囲⇔配列(マクロVBA高速化必須テクニック)
・セル範囲⇔配列の基本VBA ・使用例 ・配列およびマクロVBAの高速化に関するページ




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