VBA入門
動的配列(Redim)

ExcelマクロVBAの基本と応用、エクセルVBAの初級・初心者向け解説
最終更新日:2021-11-26

第112回.動的配列(Redim)


マクロVBAにおける配列の説明として最初に静的配列を解説しました。
静的配列では要素数は宣言時点で決められていました。


しかし、プログラミングをする上で、
実行時点で要素数を決めたい場合や、実行途中で要素数を増減させたい場合が多く出てきます。

実行時点で(実行途中で)要素数を増減できる配列を動的配列と呼びます。
マクロVBAで動的配列の要素数を変更するには、ReDimステートメントを使います。


ReDimステートメント

動的配列変数に対するメモリ領域の再割り当てを行います。
プロシージャ レベルで使用します。

ReDim [Preserve] varname(subscripts) [As type]

Preserve

省略可能です。
既存の配列に格納されている値を失うことなく、配列の最後の次元の要素数を変更する場合に使用する、キーワードです。

varname

必ず指定します。
宣言する変数の名前です。
変数の標準的な名前付け規則に従って指定します。

subscripts

必ず指定します。
配列変数の次元を指定します。
指定できる次元数の最大値は 60 です。
引数 subscripts の構文は、次のとおりです。
[lower To] upper [,[lower To] upper] . . .
引数 lower を省略した場合、配列の添字(インデックス)の最小値は Option Base ステートメントによって制御されます。
Option Base ステートメントが記述されていなければ、添字(インデックス)の最小値は 0 になります。

type

省略可能です。
変数のデータ型を指定します。


キーワードPreserveを指定した場合

変更できるのは動的配列の最後の次元のサイズに限られます。
()内の一番最後(一番右)の次元の要素数のみ変更可能という事です。

キーワードPreserveを使用した場合、動的配列のサイズを変更するために変えられるのは、添字(インデックス)の上限だけです。
添字(インデックス)の下限(最小値)を変更しようとすると、エラーが発生します。
また、次元数は変更できません。

ただし、変数が配列として定義されておらず、Variantとだけ定義(もしくは型未指定)されている場合に、
ReDimで配列として使う場合は、添字の下限も変更可能となっています。

※具体的な例としては、下記「要素数の変更について」を参照してください。

配列変数の初期化時の値

データ型によって、以下の値に初期化されます。

・数値変数は、数値の0
・可変長文字列は、長さ0の文字列 ("")
・固定長文字列は、 文字コード0のvbNullChar
・ブール変数は、False
・バリアント型変数は、Empty値


要素数の変更について

ReDim MyArray(10, 10)
'↓
ReDim MyArray(10)
'↓
ReDim MyArray(10, 10)

このように、Redimで次元も要素数も変更できます。
ただし、Redimにより、それまでに配列に入っていた値は失われます。

値を保持したまま、ReDimするには、Preserveを指定します。

ReDim MyArray(10, 10)
'↓
ReDim Preserve MyArray(10, 11)
'↓
ReDim Preserve MyArray(11, 11)

Preserveを指定することで、値がそのまま残ります。

しかし、制限があります。
Preserveを指定した場合は、
動的配列の最後の次元のサイズのみ変更可能で、それより上位の次元は変更できません。
最後の次元以外のサイズを変更するとエラーとなります。


添字(インデックス)の下限(最小値)の変更について

Dim myArray() '配列として宣言

ReDim MyArray(0 To 10, 0 To 10)
'↓
ReDim Preserve MyArray(0 To 10, 0 To 11)
'↓
ReDim Preserve MyArray(0 To 10, 1 To 11)

Preserveを指定した場合には添字(インデックス)の下限(最小値)は変更できません。

ただし、Variant変数の場合は変更可能です。

Dim myArray 'Variant変数

ReDim myArray(0 To 10, 0 To 10)
'↓
ReDim Preserve myArray(0 To 10, 1 To 11)

Variant変数を配列として使用する場合は、添字の下限も変更可能となっています。


配列について

次元数の最大値は60とはなっていますが、
通常は、2次元までにしましょう。
ワークシートが2次元なのですから。
それ以上の次元は、むやみに複雑化させるだけになります。

以下も参考にして下さい。
配列の使い方について
・配列とは ・1次元の配列 ・2次元の配列 ・3次元以上の配列 ・動的配列 ・動的配列 ・動的配列の要素数の取得 ・配列使用時の注意
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