VBA入門
静的配列

ExcelマクロVBAの基本と応用、エクセルVBAの初級・初心者向け解説
公開日:2013年5月以前 最終更新日:2024-01-03

第111回.静的配列


配列は複数の区画に値を格納できる1つの変数です。
マクロVBAを学習していくと必ず配列が出てきますが、それだけ重要かつ便利だという事です。


VBA記述自体は簡単なものですが、正しく理解せずに使っている場合も結構見受けられます。
ここでは、配列の概要とVBAでの記述方法を解説していきます。


配列とは

配列は、値を格納するために複数の区画を持つ1つの変数です。
よく集合住宅やアパートにたとえられます。
要は、同じデータ型の変数の箱を複数つなげたものと理解すれば良いでしょう。

1つの箱には、1つの値しか入れられませんが、その箱が複数つながっていますので、
結果として、複数の値を入れられるのが配列という事になります。
通常の変数が、1つの変数に1つの値を格納している点で大きく異なっています。

通常の変数 VBA マクロ 画像

配列    VBA マクロ 画像


配列が格納しているすべての値を参照する場合には配列全体を参照することもできますし、
配列のインデックス番号(配列内の位置)を指定することで個々の要素を参照することもできます。

配列のインデックス番号の最小値は、配列宣言時に指定しなければ0になります。
ただしこれは、
Option Base 1
このように指定することでインデックスの最小値を1に変更可能です。
しかし、誤解の元になり易いですし、移植しづらくなるので推奨しません。
1から開始したい時は、配列宣言時に最小値に1を指定(ページ下部で説明)してください。


静的配列と動的配列

配列の要素数(値を入れる箱の数)が、あらかじめ決まっていてVBA内において不変で良い場合は、
配列変数宣言時に要素数を指定します。
これを静的配列と呼びます。

対して、
マクロVBA実行時点で要素数を決める場合や、実行途中で要素数を増減させることもできます。
これを動的配列と呼びます。

マクロVBAでは配列の要素数が決まっていない場合が多々あるため、
むしろ動的配列を使用する機会の方が多いかもしれません。


配列の宣言

Dim ステートメント、またはPrivate ステートメント、Public ステートメントで宣言します。

Dim MyArray(10) As Long

インデックスの最小値は、0になりますので、
上記の宣言で、0から10の11個の要素を持つ、1次元の配列を定義したことになります。
(Option Base 1を指定していない場合です。)

値を入れる時は、

MyArray(0) = 1

このように使用します。
以下の例では、配列に1から順に数値を入れています。

Sub sample()
  Dim MyArray(10) As Long
  Dim i As Long
  For i = 0 To 10
    MyArray(i) = i
  Next i
End Sub


多次元配列

Dim MyArray(10, 5) As String

これは、2次元配列を宣言しています。
ワークシートの、11行、6列のセル範囲を想像してもらえればよいでしょう。
マクロ VBA 配列

Sub sample()
  Dim MyArray(10, 5) As Variant
  Dim i As Long, j As Long
  For i = 0 To 10
    For j = 0 To 5
      MyArray(i, j) = Cells(i + 1, j + 1)
    Next
  Next
  Stop 'ローカルウィンドウで確認してみましょう
End Sub

上記では、セル範囲A1~F11を配列に入れています。
配列は0から開始され、Cellsは1から開始されるので、Cellsの方は+1しています。
マクロ VBA 配列

マクロ VBA 配列

※上記画像はローカル ウィンドウです。
・ローカル ウィンドウの表示 ・ローカル ウィンドウの基本的な使い方 ・ローカル ウィンドウの制限 ・ローカル ウィンドウの最後に

次元数の最大値は60となってはいますが、
通常は、2次元までにしましょう。
ワークシートが2次元なのですから。
それ以上の次元は、むやみに複雑化させるだけです。
(時には3次元まで使われることはあります。)


要素の下限の変更

配列のインデックスの下限を変更することができます。

Dim MyArray(1 To 10) As String

このように定義することで配列の要素は、
1~10の10個になります。
特に、ワークシートとデータのやり取りをする場合は、
このようにした方が理解しやすく、また、記述もしやすいでしょう。


配列について

以下も参考にして下さい。
配列の使い方について
・配列とは ・1次元の配列 ・2次元の配列 ・3次元以上の配列 ・動的配列 ・動的配列 ・動的配列の要素数の取得 ・配列使用時の注意
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