VBA技術解説
Dictionary(ディクショナリー)連想配列の使い方について

ExcelマクロVBAの問題点と解決策、VBAの技術的解説
公開日:2013年5月以前 最終更新日:2020-02-06

Dictionary(ディクショナリー)連想配列の使い方について


「Dictionaryオブジェクトについて簡単な使用例を上げて解説して欲しいです。」
との要望をいただいたので、Dictionaryについて基本的な使い方を解説します。


Dictionary(ディクショナリー)は名前の通り、辞書機能であり、連想配列とも呼ばれます。
この辞書には、重複は許されません。
また、この辞書には、キーとデータの2つが存在します。

Dictionaryを使って重複を除く

そこで、最も簡単な例として、重複を除く場合の使い方で解説します。

マクロ VBA サンプル画像

このような表があったとして、
KEY(A列)で重複をなくして、他のシートにコピーする場合を想定しました。

Dictionaryの使い方その1

Sub sample1()
  Dim myDic As New Dictionary
  Dim i As Long


  With Worksheets("Sheet1")
    For i = 2 To .Cells(.Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
      myDic(.Cells(i, 1).Value) = .Cells(i, 2).Value
    Next i
  End With

  With Worksheets("Sheet2")
    For i = 0 To myDic.Count - 1
      .Cells(i + 1, 1).Value = myDic.Keys(i)
      .Cells(i + 1, 2).Value = myDic.Items(i)
    Next i
  End With
  Set myDic = Nothing
End Sub


Dictionaryの参照設定

Dim myDic As New Dictionary
これは、
Dim myDic As Dictionary
Set myDic = New Dictionary
これでも良いです。
これらを使うには、
「ツール」→「参照設定」で、
Microsoft Scripting Runtime
これを参照設定して下さい。
参照設定しない場合は、
Dim myDic As Object
Set myDic = CreateObject("Scripting.Dictionary")
このようにして下さい。

VBAコードの説明は、さほど必要がないようにも思えます。
重要な部分は、太字部分だけになります。
myDic(.Cells(i, 1).Value) = .Cells(i, 2).Value
これでDictionaryに、
キーが.Cells(i, 1).Valueで、値が.Cells(i, 2).Value
これが追加されます。
既に同一キーが存在していた場合は、値が上書きされます。

myDic.Keys(i)
これで、Dictionaryから指定位置のキーを取り出します。

myDic.Items(i)
これで、Dictionaryから指定位置のデータを取り出します。

Dictionaryを使う時の注意点

myDic(.Cells(i, 1).Value)
この、.Valueは省略しないで下さい。
Dictionaryの引数は、オブジェクトを受け入れるので、
.Valueを省略してしまうと、セルである、Rangeオブジェクトが格納されます。
セルの値ではなく、Rangeオブジェクトなので、
値が同じでも、セル位置が違えば、違うオブジェクトとして格納されます。

Dictionaryの使い方その2

myDic(.Cells(i, 1).Value) = .Cells(i, 2).Value
これは上書きになっていますが、上書きしたくない場合もあります。
以下のVBAでは、既にDictionaryに入っているかどうかを調べてから入れています。

Sub sample2()
  Dim myDic As New Dictionary
  Dim i As Long


  With Worksheets("Sheet1")
    For i = 2 To .Cells(.Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
      If Not myDic.Exists(.Cells(i, 1).Value) Then
        myDic.Add .Cells(i, 1).Value, .Cells(i, 2).Value
      End If

    Next i
  End With

  With Worksheets("Sheet2")
    For i = 0 To myDic.Count - 1
      .Cells(i + 1, 1).Value = myDic.Keys(i)
      .Cells(i + 1, 2).Value = myDic.Items(i)
    Next i
  End With
  Set myDic = Nothing
End Sub


sample1との大きな違いは、太字の部分だけです。
しかし、ここの違いが大きいのです。
myDic.Add .Cells(i, 1).Value, .Cells(i, 2).Value
これは、Dictionaryに、キーとデータを追加しますが、
この書き方の場合、既に存在している場合は、エラーとなります。

On Err で回避しているコードを見かける事がありますが、On Errは最終手段として使って下さい。
myDic.Exists(.Cells(i, 1).Value)
これで、キーがDictionaryに存在しているかの判定ができます。
存在している場合には、Trueが返ってきます。
後は、sample1と全く同様になります。


2通りの書き方を紹介しましたが、これらのVBAコードは実行速度がとても遅い書き方になります。
Dictionaryからデータを取り出す場合は、For…Eachを使うようにします。


Dictionaryの使い方その3

Sub sample3()
  Dim myDic As New Dictionary
  Dim i As Long
  
  With Worksheets("Sheet1")
    For i = 2 To .Cells(.Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
      If Not myDic.Exists(.Cells(i, 1).Value) Then
        myDic.Add .Cells(i, 1).Value, .Cells(i, 2).Value
      End If
    Next i
  End With
  
  Dim vKey As Variant
  With Worksheets("Sheet2")
    i = 0
    For Each vKey In myDic
      i = i + 1
      .Cells(i + 1, 1).Value = vKey
      .Cells(i + 1, 2).Value = myDic.Item(vKey)
    Next
  End With

  Set myDic = Nothing
End Sub

Dictionaryに入れる部分は変更ありません。
太字部分が変更されています。
For…EachでKeyを取り出し、.Itemの引数でKeyを指定してデータを取り出しています。
For…Eachについては、以下を参照してください。
第59回.コレクション処理(For Each)|VBA入門
・For Each の構文 ・Exit For ・For Each の使用例 ・RangeオブジェクトのFor Each ・For Each サイト内の参考ページ

Dictionaryの使い方サンプル

最期に、A列のキーの存在個数をカウントするプログラムを掲載します。
解読してみて、Dictionaryの使い方に慣れてください。

Sub sample4()
  Dim myDic As New Dictionary
  Dim i As Long
  Dim vKey As Variant


  With Worksheets("Sheet1")
    For i = 2 To .Cells(.Rows.Count, 1).End(xlUp).Row
      If myDic.Exists(.Cells(i, 1).Value) Then
        myDic(.Cells(i, 1).Value) = myDic(.Cells(i, 1).Value) + 1
      Else
        myDic.Add .Cells(i, 1).Value, 1
      End If
    Next i
  End With

  With Worksheets("Sheet2")
    i = 0
    For Each vKey In myDic
      i = i + 1
      .Cells(i + 1, 1).Value = vKey
      .Cells(i + 1, 2).Value = myDic.Item(vKey)
    Next
  End With
  Set myDic = Nothing
End Sub


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