SUMIFの間違いによるパフォーマンスの低下について
再計算が終わらない・・・
そんな経験をした人は多いと思います、原因はさまざまですが、まずは数式を見直してみましょう。
時間のかかる計算としては、
大量データの集計計算を多数使っている場合です。
SUMIF関数
数式もL列に10,000行入れます。
入れる数式によって、再計算の時間を測定してみました。
Application.Calculation = xlCalculationManual
Range("L2:L10001") = "☆ここに数式を入れます☆"
Debug.Print Timer
Application.Calculation = xlCalculationAutomatic
Debug.Print Timer
・手動計算(自動計算をOFF)
・数式を1万行分入れる
・時刻表示←計算開始時刻
・自動計算
・時刻表示←計算終了時刻
以下の実測時間は、
時間 = 計算終了時刻 - 計算開始時刻
これで計算した概数結果を記載しています。
VLOOKUP関数
エラーになってくれれば良いのですが、正しく計算されてしまうから困ったものです。
9.6秒
かなりかかっています。
では、SUMIF関数を正しく指定して計測してみます。
範囲を列全体にしています。
結果は、
8.3秒
間違った前記よりは少しは改善されていますが、
とりたてて強調するほどの差は感じられません。
入力する度に10秒も待たされてはたまったものではありません。
手動計算にしてから入力し、入力し終えたら自動計算にする
良くやることですが、それにしても、
たかだか1万行程度で、こんなにかかってしまうものでしょうか。
再計算を少しでも早くするためには、範囲を限定します。
8.3秒
範囲指定をしても変わりません。
Excelは良くできていますね、
データの無い範囲では余分な処理はしていないという事になります。
メンテナンス性を考えると、範囲指定はSUMIFにおいては無駄だという事になります。
以上の結果ですと、
最初の間違ったSUMIFでも、集計があっているのだから大した問題が無いような・・・
この数式を入れた後で、シートを少々いじってみると、とても重いのが分かります。
何も入っていない空白セルで、「Delete」を押しただけで再計算が走ります。
対して
=SUMIF(A:A,K2,J:J)
この数式を入れた後は、SUMIFとは無関係のセルであれば、
セル値を変更しても再計算が走りません。
Application.Calculation = xlCalculationManual
Range("L2:L10001") = "☆ここに数式を入れます☆"
Debug.Print Timer
Application.Calculation = xlCalculationAutomatic
Debug.Print Timer
Application.Calculation = xlCalculationAutomatic
Debug.Print Timer
・=SUMIF(A:J,K2,J:J)
9.6秒
9.6秒
2回目の計算も1回目の計算と同じだけ時間がかかっています。
毎回、全て再計算されてしまっている感じです。
・=SUMIF(A:A,K2,J:J)
8.3秒
0.0秒
2回目の計算が行われていません。
1回目の計算で、計算済として判定されて再計算を行っていないという事です。
そうなんです。
ここが問題なのです。
間違ったSUMIF(=SUMIF(A:J,K2,J:J))では、SUMIFの計算自体も遅くなってしまいますが、
それ以上に再計算が無関係のセル値変更でも行われてしまうというところにあります。
確認してみたところ、関係のない別のシートの変更でも再計算が走ってしまいます。
複数条件の集計に、SUMPRODUCT関数を使っている場合が多くありました。
そのような目的のSUMPRODUCT関数は、直ちにSUMIFS関数やCOUNTIFS関数に書き換えて下さい。
SUMPRODUCT関数は計算が極めて遅いです、これは配列関数全体に言える事です。
特に、SUMPRODUCTの範囲を列指定などにしてしまったら・・・
今回の例の1万件でも、いつまでたっても再計算が終わらないという状態になってしまいます。
ちなみに、今回のデータで、
=SUMPRODUCT((A$2:A$10001=K2)*(J$2:J$10001))
12.1秒
=SUMPRODUCT((A:A=K2)*(J:J))
待てど暮らせど終わりませんでしたので、計測中止してExcelを切りました。。
ここでは、極端に1万行のデータを1万行で集計して検証しましたが、
数千行程度の集計をしているExcelで、
どこかをいじるたびに再計算が走る(一瞬待ちになる)ようなら、
入っている数式を再度確認してみることをお勧めします。
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