VBA技術解説
フィボナッチ数列(再帰呼び出し)

ExcelマクロVBAの問題点と解決策、VBAの技術的解説
公開日:2020-02-08 最終更新日:2020-07-06

フィボナッチ数列(再帰呼び出し)


フィボナッチ数列は、最初の二項は 0, 1 で、以後は直前の2つの項の和となっている数列です。
VBAでフィボナッチ数列を出力してみましょう。
もちろん、フィボナッチ数を勉強しようとか、何かに使おうという事ではありません。
再帰呼び出しの練習、再帰プロシージャーをしっか理解しようという趣旨になります。


フィボナッチ数の詳細については、フィボナッチ数(ウィキペディア) こちらをご覧ください。

フィボナッチ数列を出力する再帰VBA

Sub FibonacciMain()
  Call FibonacciNumber(100)
End Sub

Sub FibonacciNumber(nEnd, Optional n1, Optional n2)
  If IsMissing(n1) Then
    n1 = 0: Debug.Print n1
    n2 = 1: Debug.Print n2
  End If
  If n1 + n2 > nEnd Then Exit Sub
  Debug.Print n1 + n2
  Call FibonacciNumber(nEnd, n2, n1 + n2)
End Sub
※ここではデータ型の指定を省略しています。

上のFibonacciMainを実行すると、イミディエイトに以下のように出力されます。
0
1
1
2
3
5
8
13
21
34
55
89
ステップイン(F8)で、1行ずつ確認しながら、n1n2の変化を確認して下さい。

Call FibonacciNumber(nEnd, n2, n1 + n2)
これが実行されると、再び、
Sub FibonacciNumber(nEnd, Optional n1, Optional n2)
ここに入ってくることが確認できます。

そして、
If n1 + n2 > nEnd Then Exit Sub
この後は、
End Sub
が繰り返されることが分かる筈です。
ぜひ、ステップイン(F8)で確認してみてください。

再帰呼び出しを使わない場合のVBA

Sub sample()
  Dim n1, n2, nTmp
  n1 = 0: Debug.Print n1
  n2 = 1: Debug.Print n2
  Do While n1 + n2 < 1000
    nTmp = n1 + n2
    Debug.Print nTmp
    n1 = n2
    n2 = nTmp
  Loop
End Sub

これは理解しやすいのではないでしょうか。
このVBAと再帰VBAを見比べてください。
それぞれをステップインで比べると、より理解しやすいはずです。

再帰プロシージャで考慮すべき事項

制限条件の確認

再帰プロシージャでは、再帰を終了する条件を最低 1 つテストする必要があります。
また、妥当な回数の再帰呼び出しを行ってもこの条件が満たされない場合の処理も必要です。
必ず満たされる条件を最低 1 つ用意しないと、プロシージャが無限ループに陥る可能性が高くなります。
再帰プロシージャを作成した場合、最低 1 つの制限条件を満たしていることを必ずテストする必要があります。
また、再帰呼び出しが多すぎるためにメモリを使い果たすことがないことを確認する必要があります。

メモリ使用状況

アプリケーションがローカル変数に使用できる領域は限られています。
プロシージャが自分自身を呼び出す際、ローカル変数のコピーが毎回作成され、領域を消費します。
このプロセスがいつまでも続くと、最終的には StackOverflowException エラーが発生します。

Functionプロシージャーの戻り値を使って再帰呼び出しする場合

Functionプロシージャーの戻り値を使って再帰呼び出しする場合については以下で解説しています。
再帰呼出しについて(再帰プロシージャー)
・指定数値の階乗を求める再帰VBA ・再帰プロシージャで考慮すべき事項 ・再帰呼び出しの実践例

実際の再帰処理では、Functionの戻り値とByRef引数を組み合わせて使用することも多々あります。

再帰呼び出しの実践例

ここでは、再帰呼出しを使い、FileSystemObjectで全サブフォルダのファイル一覧を取得しています。
サブフォルダの階層は際限がない為、一般的なループでは処理が難しいのですが、
再帰呼出しを使う事で、短いVBAコードで実現する事が出来ます。
再帰呼出しとFileSystemObjectが出てくるのは、№6からですが、Dir関数と合わせて、一度は目を通しておくと良いでしょう。

各種ゲーム

以下のようなゲーム作成においては、再帰呼び出しは必須になります。

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ExcelマクロVBAでオセロ(リバーシ)を作っていきながら、マクロVBAを学んで行きましょう。目的は、マクロVBAの学習であり、思考を整理しVBAでプログラミングする学習です。従って、強いソフトを作ることが目的ではありませんので、最近流行のAIなんちゃら…なんていうのは考えるつもりはありません。



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